既存事業の基盤を強化し新規ビジネスの拡大を進めたい
——今はAIへの注目が高まっています。「何かできるかもしれない」という期待感はデータ分析よりも高く、手挙げにつながる可能性がありそうです。AIの活用については、育成体系の中に組み込まれているのでしょうか。
大石 はい。データ活用研修においても課題解決ツールの1つに生成AIが入っていますし、うまく活用して実際に課題を解決しているケースもあります。
佐藤 ただ、AI活用は個人に委ねられている状態で、それでは個人のスキルに左右されます。できる人はどんどん活用するけれど、できない人は週に1回も使わない、となってしまう。組織全体を底上げするのか、特定のエキスパートを育成するのか、教育方針を定める必要があると感じています。
——最後に、研修の効果測定についてお聞かせください。
大石 これは本当に難しいです。この研修を受けたらこれだけ業績が上がります、とはなかなか言えません。そのため、育成人数などをKPIに置いていますが、究極的に何を達成したいかというと、やはり生産性の向上です。具体的なところでは、データ活用研修などでは「今まで何時間かけていたものが、何時間で済ませられるようになったか」という業務効率改善の時間を測定してもらっています。
佐藤 理想は、上級研修を受けてデータスキルなどを身に付けた人たちが業務改善を行い、1人当たりの業務生産性が向上することです。上級研修を受けた人が各組織に数名ずついる状態になれば、成果が上がると思います。
大石 講演の中で、「コンビニエンスストア事業の基盤強化と、その基盤を活用した新規ビジネス拡大による新たな成長の好循環創出を目指した」と説明しましたが、業務改善により空いた時間を新規ビジネス拡大に使うようになることが1つのビジョンになってくると思います。
DXは、基本的にデジタル化ではなく、ビジネス変革(トランスフォーメーション)の話です。本当の意味でのDXが実現できれば、「ファミリーマートがこんなこともやるのか」というような、新しい未来が創造できると期待しています。


