フリーランス活用企業の経験談〜成果を出してもらう方法と注意点
イベントの第一部「私たちはこうして欲しい人材を手に入れた!」では、実際にITプロ人材を活用し、事業成長を遂げている3社がパネルディスカッションに登壇。フリーランサーとともに仕事をする立場から経験談が語られました。
パネリスト
- 矢崎幹一氏
- 株式会社アカツキ 人事部マネージャー
- 大学卒業後、人材育成のコンサルティングの企業に入社。営業、講師などを実施。その後、外資系IT企業に部門担当人事として転職。同社にて新卒採用、人材開発、人事企画など人事業務全般を経験。2016年にアカツキにエンジニア採用担当として入社。現在はアカツキにて全職種の中途/新卒を含めた採用の責任者。
- 末永昌也氏
- 株式会社グロービス デジタル・プラットフォーム エンジニア
- 2009年東京工業大学大学院卒業後、株式会社I&G Partners(現:株式会社アトラエ)入社。開発責任者として大規模人材サービスの開発ならびに新規事業の立ち上げを経験。4年間従事した後、株式会社LOUPEのCTOに着任。全国の教師をつなぐSNS「SENSEI NOTE」の開発に携わる。2016年には株式会社グロービスに社内初のエンジニアとして参画し、「グロービス学び放題」というビジネスナレッジの動画教育サービスを立ち上げている。2012年に開催されたStartup Weekend Tokyoで優勝、同年開催のGlobal Battleにおいて世界8位の受賞歴がある。
- 関 尚弘氏
- 古河ファイナンス・アンド・ビジネス・サポート株式会社 代表取締役社長
- 1989年北海道大学文学部卒業後、古河電工に入社。工場の生産管理を9年経験後、情報システム部に異動し、複数の社内情報化プロジェクトを推進。2008年採用課長、2012年経営企画室主査を経て、2016年6月より現職。プロジェクト経験が多く、様々な分野のコンサルタントと協働した。著書に、創業125年の老舗企業で行った業務改革プロジェクトをテーマにしたコンサルタントとの共著『反常識の業務改革ドキュメント』(日本経済新聞出版社刊)がある。
モデレーター
- 平田麻莉氏
- 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事
- 大学在学中よりインターンとしてPR会社ビルコムの創業期に参画。大手人材企業や組織開発コンサルティング企業などの広報経験が長く、企業と個人の関係性に対する関心を深める。現在は、フリーランスとして「タスカジ」や「ビザスク」の広報責任者を務めるほか、エグゼクティブ教育のためのケースメソッド教材制作(ケースライター)、ビジネスコラム執筆、翻訳などを行う。
――はじめに、フリーランスを活用するきっかけや、フリーランスを活用した失敗談や成功談を教えていただけますか。
矢崎幹一氏(以下、矢崎):アカツキは、2010年の創業当時から外部のスペシャリストの力と合わせて事業を拡大してきた会社です。人材の雇用形態にかかわらず、事業拡大に必要なスペシャリストを探しているので、様々な職種で多くのフリーランスの方々が活躍しています。
たくさんの失敗を重ねて今があるのですが、コミュニケーションは問題になりやすいポイントの1つですね。当たり前のことですが、パートナーの方にとってアカツキで働き始めることは、入社ではなく業務開始。お願いすることを明確にすることで、うまく組織運営できるようになると思います。
末永昌也氏(以下、末永):グロービスは、今テクノベート(テクノロジー×イノベート)を掲げてエンジニアを積極採用しています。私はグロービスのエンジニア第1号で、1年前にジョインしました。今ではフリーランスやオフショア開発も利用しながら、60名くらいの開発体制になっています。それまでずっとベンダーに発注したものを受け取る形でやっていましたが、改善がなかなか進まないもどかしさを感じていました。社内にエンジニアを抱えることで10倍くらいのスピード感で改善できることがわかってきたため、今後さらに加速させていこうというムーブメントが起きているところです。
ちょっと失敗したなと思うのは、リモートワークすることもあるフリーランスの方にプロジェクトマネジメントを任せた結果、コミュニケーションの問題でゴールがずれたり、プロジェクトが延期になったり、リソースの追加投入が必要になったりしてしまいまして……。フリーランスの方は週5日で来ていただけるとは限りません。開発規模が大きい場合、リモートを許可する際に注意が必要かなと思っています。
一方で、成功例もたくさんあります。例えば、インフラをAWSに移管する作業を僕とフリーランスの方でタッグを組んでやったのですが、それは非常にうまくいきました。経験豊富なフリーランスの方に入っていただいたおかげで、先進的な技術も使えて、非常に良い結果に終わりました。アプリ開発では完全にリモートワークという方に入っていただきましたが、3名のプロジェクト規模だったのでコミュニケーションのミスも発生せず、コストは外部ベンダーに発注する場合の半額くらい。かつ高いクオリティのものが早く出てきたので、よかったですね。
関 尚弘氏(以下、関):古河電工は光ファイバーや自動車部品を製造している、1884年創業のメーカーです。133年の歴史を持つ古い会社なので、十数年前まではコンサルタントに対してアレルギーのある会社でした。フルスクラッチで作ったシステムを使い、プロジェクトマネジメントもウォーターフォールでやってきました。ところがあるとき、ERPという新しい手法をいよいよ導入することになりました。しかし、そのノウハウは社内にない。そこでしかたなく、外部の力を借りることになったんです。
ただ、これが結果として大成功を収めまして、アレルギーもそこからなくなりました。普段、社外の人が会社に入ってくることなんてなかったので、最初はかなり大変でしたが、入っていただいた方が溶け込むスキルを持っていらっしゃって。一緒に汗をかいてくださったのがよかったのだと思います。