ロバート・ウォルターズ・ジャパン代表取締役社長のデイビッド・スワン氏によれば、世界的には、ビジネスにデジタル化やxTechの波が来ていることを背景として、ITテクノロジーやデータ分析に強い人材ニーズがあると説明。また、金融規制やコンプライアンス、監査、法務の専門家にも高い需要があると述べた。
日本国内でも、2017年は同社が1994年に日本で事業を開始して以来最高の給与水準になったとスワン氏。さらに、この傾向は今後も続くと予想している。
需要が目立ったのは、グローバリゼーションやデジタル化に対応するための専門家や、バイリンガル(英語)が使える人材、人事・組織や財務などの課題に対しソリューションを提案する能力を備えている人材、メカトロニクスに強い人材。FinTech(金融)、HR Tech(人材)、HealthTech(健康)、Real Estate Tech(不動産)AgriTech(農業)といったxTechを活用するための人材にも大きなニーズがある。xTech系の人材は4~6倍の引き合いがあるという。
また、ビジネス拡大、新領域へ参入するための中途採用では、豊富な経験と高い専門スキルを身につけた40歳以上の中堅・シニア層の採用が成立するケースが少なくない。同社は、人材が売り手市場になっていることから、企業が40歳以上の採用にも寛容になっているのだろうと分析している。また、転職希望者に提示される給与が、前職より平均して10~15%増しになっている。テクノロジーを伴う新興分野では20~25%増しに及ぶケースもある。さらに、在宅勤務や研修制度の充実、評価基準の改変など働き方に関するメリットを示して、求人応募者を集めようと試みる企業も増加。この動きは今年以降も継続する見通しだ。
IT業界に絞って見ると、FinTech企業・サービスが日本にも進出し、人材が取り合いになったとスワン氏は明かした。特に、Web開発者やモバイル開発者の需要が高騰しており、争奪戦が繰り広げられている。また、AIの専門家への需要も高く、人材の共有が追いつかない状況だ。
その一方で、やみくもな人材獲得に走る様子は見られず、むしろ慎重な構えで採用活動が行われている。具体的には、いきなり正社員としてではなく、まず契約社員として迎えるケースが増加。これは、最先端の技術や知識を獲得するための手法にもなっているという。
なお、給与調査2018では、IT業種における給与(年俸・時給)を次の分類で掲載。各分類の中で、CIOや各種マネージャー、エンジニアごとに給与が示されている。
- IT-金融(銀行・証券・投信)
- IT-金融(銀行・証券・投信以外のサービス)
- IT-商工業
- IT-オンライン
- IT-ベンダー・コンサルティング
IT以外にも、財務・会計、金融サービス、人事・総務・秘書・通訳、法務・コンプライアンス・リスク、製造、営業・マーケティング、サプライチェーンの各業種・職種についてのトレンドや給与がわかる。
給与調査2018は、同社のWebページからPDF形式でダウンロードできる。冊子を希望の場合、同ページから申し込める(無料)。