同調査 2019年版発表のニュースがこちらにあります。
米グローバルナレッジは、エンジニアの給与と保有するIT関連資格について2011年より毎年調査を行い、その結果を発表している。同社によれば、2018年版のランキングからは次のような事実が見て取れるという。
- 12位までの年収は10万ドル(およそ1060万円)を超える
- 7位までの資格は、昨年も10位までにランクインしていた
- セキュリティ分野の資格は、昨年の4資格から6資格へ増加
- ISACAの資格は、昨年の3資格から4資格へ増加(資格ベンダーとして最多)
- ビジネス分野の資格は、昨年の2資格から3資格へ増加
- クラウド/仮想化分野の資格は、昨年の4資格から3資格に減少
- Windows系の資格は、昨年の3資格から1資格に減少
昨年もランクイン数の多かったセキュリティ分野だが、今年はさらにその数を伸ばした。日本国内でも人材獲得が激化しているセキュリティ人材だが、世界でも需要は高いようだ。一方で、クラウド/仮想化に関連する資格は一歩後退。しかし、AWSに関する資格は2位にソリューションアーキテクト(昨年3位)、4位にデベロッパー(昨年はランク外)とむしろ上昇した。また、トップ6の年収額が11万ドル以上であるのは昨年と同様だが、金額は下がった(昨年のトップ6は平均12万3515ドル、今年は平均11万5633ドル)。
発表されたTOP 15の資格は次のとおり。
トップ3の資格試験概要と競争力の要因
1位の公認ITガバナンス専門家(CGEIT)は、エンタープライズITのガバナンスを保証する人材向けの資格で、企業のビジネス戦略やリスク管理に対するIT投資を最適化するための知識が問われる。ISACAという非営利団体が提供・管理している。CGEITの認定を受けるには、CGEIT試験に合格するほか、CGEITが定める5つのドメインのうち3つ(ドメイン1「ITガバナンスの枠組」は必須)の実務経験を明らかにする証明書の提出が必要。実務経験は、認定申請日からさかのぼって10年以内、あるいは最初に試験に合格した日から5年以内でなければならない。
米グローバルナレッジはCGEITに対する競争力の要因を、CGEITが認定するITガバナンスに関するスキルへの需要の大きさに対し、スキルを持つ人材の数が少ないことを挙げ、このことが昨年のランク外から今年最も年収額の高い資格に押し上げたと分析している。
2位のAWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイトは、米アマゾンのクラウドAmazon Web Services(AWS)上でシステムの設計やデプロイを行うための専門性を証明する資格。ここ数年ランクインを続けており、昨年の3位から1つ順位を上げて、今年は2位になった。この点について米グローバルナレッジは、クラウドの成長からすれば同資格へのニーズの高さは驚くに値しないと述べている。
AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイトの認定を受けるには、PSIが運営するテストセンターで試験を受け、合格する必要がある。試験では、ある条件下での適切なAWSサービスの選択、AWSへのデータの出し入れ、コスト見積もりといったトピックから問題が出る。なお、AWS認定資格にはそのほか、AWS認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル、同デベロッパー アソシエイト(4位にランクイン)、同SysOpsアドミニストレーター アソシエイト、同DevOps エンジニア プロフェッショナルなどがある。
3位のプロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)は、PMI(Project Management Institute)が運営する資格制度。産業に依存せず、あらゆるプロジェクトを遂行できる専門性を認定する。プロジェクトマネジメントに必要な知識体系(PMBOK:Project Management Body Of Knowledge)をベースに、試験ではプロジェクトマネジメントのライフサイクル(立ち上げ、計画、実行、監視コントロール、終結)の理解を問う。取得には、35時間のPMP関連トレーニングの受講、4500時間以上(学士号以上を持つ場合)のプロジェクトマネジメント経験という条件も満たす必要がある。
米グローバルナレッジはPMPに対する競争力の要因として、210か国・77万人の取得者がいる点を挙げている。日本でも長く人気のある資格である。なお、試験範囲が3月26日に改定されたので注意したい。
本レポートの全文は、米グローバルナレッジの発表ページ(英語)を参照のこと。