リファラル採用がうまくいかない理由
リファラル採用に取り組む企業は増えていますが、うまくいかないケースも多くあります。うまくいかない理由は、仕組み化ができないことにあります。仕組み化ができないと、せっかく作った制度も一過性のもので終わってしまいます。友人・知人を紹介してくれた社員へインセンティブを出す制度を作ったものの、社員に紹介をしてもらうことができずに形骸化してしまったというのもよく聞く話です。
リファラル採用を継続して進めるにも、まず社員の巻き込み方がわからないのかもしれません。大切なのは、いったん友人・知人を紹介する社員の立場に立って考えてみること。具体的には、次に挙げる3つの原因でリファラル採用は続かずに失敗します。
1つ目は、社員が自社で募集しているポストや採用要件を知らない。大手企業の場合、募集しているポストが50も100もあります。法人営業、リテール営業、マーケティング、財務、経理などさまざまです。弊社が調べたところ、空きポストを詳細まで把握している割合は、5000名くらいの企業では3〜4%に過ぎません。
2つ目は単純な理由で、そもそも社員に友人・知人を紹介する動機がないから、面倒に感じるからです。インセンティブとして支給する金額を高くすれば推薦の数が増えるかというと、そんなことはありません。インセンティブに左右されて動く人は全体の1割程度です。また、友人・知人を紹介する手続きが面倒な場合も、社員は動いてくれません。特に友人・知人の職務経歴書を回収して提出する、詳細な推薦状を書いて出すといった手続きがあると、面倒くさくて敬遠されがちです。
3つ目は、責任を負いたくないからです。声かけをしても、書類選考で落ちたりしたら気まずいですよね。また、選考が順調に進んで入社することになっても、入社後にパフォーマンスを発揮できなかった場合には自分の評価に関わるのではないかと考える人もいます。責任感の強い方ほど、声掛けに慎重になりがちです。
さらに、こうした社員側の課題を解消できたとしても、人事側の原因でリファラル採用をうまく促進できない場合があります。
1つは、そもそもどうやって社員を巻き込んだらよいか、どうやって動機づけしたらよいかわからないというものです。特に、職業安定法40条が大きな問題として立ちはだかります。知人・友人を紹介して報酬を得てはいけないと規定する同法について、リファラル採用のインセンティブ制度が抵触するのか/しないのかの知識がなく、高いハードルとして感じてしまうのです。
もう1つは、こうしたリファラル採用に関わる作業が多くて手に余ったり、必要なデータがなくリファラル採用のPDCAサイクルを回せないといったことも、人事側が抱える課題です。