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クラウド時代を生き抜くためのIT資格を考える | 第1回

IT資格がどう役立つのか、英検と世界遺産検定の比較から考え直してみた


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 資格は、その人がもつ能力や知識のレベルを証明してくれます。その人の業務上の価値や、どんな分野に長けている人物であるのかは、保有する資格によってある程度判断できます。また、資格保有者であることで、仕事相手などに安心感を与えられますし、資格を保有していること自体に優位性を感じられるかもしれません。このコラムではそんな現状に一石を投じ、IT資格が本当に役に立つのか、役に立つのなら誰にとって、どのようなシーンで役立つのかなどを再考していきます。

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資格の価値はどう決まるのか

みなさんは学生だったころ、英検や漢検などを学校で受験させられた経験はありませんか? 半ば強制的だったとしても、合格してみると、やはり誇らしく思ったのではないでしょうか。周りの人も、みなさんの英語なり漢字なりの知識と技能を認めてくれたと思います。

日本人は一般に資格好きだといわれます。資格によって「◯◯のお墨付き!」を得たいという心理が働くのかもしれません。そのせいか、最近では「世界遺産認定」など、多種多様でユニークな認定資格が生まれています。

ところで、なぜ先生は「英検を取得しなさい!」と言ったのでしょうか? 理由の1つには、価値を見いだせる人があるでしょう。英検保有者は推薦入学に有利といった明確な価値があるので、先生は受験を勧めたのです。

もう1つ考えられる理由は認定尺度です。英検◯級というだけで、その人がどれくらいのレベルの英語力を持っているのかを明確化できるということです。英検の各級には、覚えるべき単語やイディオムの個数などに明確な基準があり、(多分ですが)ここ20年以上、それはあまり変わっていないと思います。つまり、今年英検2級を受けた知識で 5年後の英検2級にも合格できる可能性は高いということです。

同じ視点から、世界遺産検定はどうでしょうか。まず、この資格に明確な価値を見いだすことは難しいと思います。趣味とか自己満足とかの域を出ないのではないでしょうか。ただし、旅行会社に就職を目指しているなどの特定の人には有利に働くこともあるかもしれません。

認定尺度についてはどうでしょう。世界遺産は毎年新しく認定される場所や事物がありますし、環境の悪化から登録解除になるケースもあると聞きます。つまり、世界遺産検定の認定尺度は、受験時点の世界遺産についての知識であり、時間の経過と共にそれは変動するということです。今年合格できた知識で 5年後にも合格できるかというと難しいかもしれません。

英検と世界遺産検定の違いから、資格や検定には次のような区別があるとわかります。

  • 価値が「明確(あるいは絶対的)」か「不明確(あるいは相対的)」か
  • 認定基準が時間経過に対して「普遍的」か「変動的」か

英検は、価値は「明確」で認定基準は「普遍的」。一方、世界遺産検定は、価値は「不明確」で認定基準は「変動的」です。

それではIT資格はどうなのか

それではIT資格はどうかというと、英検のように認定基準が変わらず普遍的だとはいえません。むしろ、世界遺産検定のように常に変動的で、中には何の役に立つのかよくわからない新しい資格もあります。

また、IT資格は、国家資格からベンダ資格まで沢山の種類があります。また、分野においてもインフラからソフトウェアまで広範囲です。ある分野に属する人や部署には価値がある資格でも、他分野の人や部署では意味を持たないこともあります。つまり、対象者にばらつきがあり不明瞭なのです。

その上、ITの世界は日進月歩です。10年前の資格が現時点で役に立つかというと、ほとんど役には立たないでしょう。通常の ITベンダー資格はだいたい2~3年で期限が切れ、新しいバージョンに更新する事を促されます。サイクルも非常に早いのです。だからこそ、ITエンジニアの人材育成を考える人材開発担当者は、どのような資格を選択すべきなのかをとても悩みます。

とても大切なのは、このような変動型の資格には「旬」があるのだと理解することです。

世界遺産認定が最近注目されている理由は、日本でいくつかの世界遺産が認定されて、世界遺産がちょっとしたブームになっているからです。ITの世界でも同じです。価値はそのときのトレンドで決まります。トレンドをにらんで、どの認定資格を取得するかを考えるべきです。

今、ITの世界では「クラウド」がトレンドであることは容易にわかりますね。では、クラウドエンジニアといわれる人はどんな資格を取得するべきなのでしょうか?

まず、クラウドに含まれる技術や知識は非常に広範囲です。ですので、物理環境を構築管理していたときのように、ある特定領域の技術のスペシャリストではなく、オールラウンドプレーヤーであることが大事です。こうした状況下では、コンピュータサイエンス全般を理解していることが大切になるので、特定のベンダに依存しない、一般的なコンピューターの知識を問う資格が役に立つでしょう。その上で、自分のスペシャリティを発揮できる方向に知識を広げていくというのが、スキルアップの戦略としてよいと思います。

これって、すごく当たり前のことを言っているようですよね。でも、よーく周りを見回してみてください、そんなエンジニアってなかなかいないんですよ。ネットワーク、ストレージ、CPU、メモリなどのコンピューティングリソースを熟知し、各種OSを理解し、同時に各種アプリケーションを理解し、各種DBの構築管理ができ、プログラミング言語を操る……なんてエンジニアにはめったにお目にかかれません。

私は、クラウドの世界では「これら全ての技術を概要レベルで理解してる!」っというところから少しだけ高いレベルで理解していることが重要なのだと感じています。つまり、一般的な情報処理の資格でも、アドバンスドレベルまで保有していれば「お墨付きをもらった!」といえるのではないでしょうか。

安定志向より「とりあえずおもしろそうだから」が正解

一般的なコンピュータサイエンスの資格を保有した後は、たくさんのIT資格の中から、自分が得意とする方向に進む、あるいは、「単純にこれ面白そうだなぁ」と思う技術に着手するなどして、自分なりのスペシャリティを磨いていけばよいと思います。

クラウドエンジニアに求められるのは、古い概念にとらわれない柔軟な思考と、スピードに対応できる姿勢、そして、未知のことを恐れないチャレンジ精神です。どちらかというと、英検のように安定した資格を求める思考ではなく、何に役に立つかわからないけど、とりあえずおもしろそうだから世界遺産検定を受けてみようという思考が求められる、そんな時代なのだと思います。

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この記事の著者

徳重 華奈子(ヴイエムウェア株式会社)(トクシゲ カナコ)

2006年ヴイエムウェア株式会社入社。IT教育のスペシャリストとして、クラウドエンジニアの教育を担当、年間数百人の認定資格者を輩出。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://hrzine.jp/article/detail/14 2015/12/01 15:44

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