きっかけはリーマンショックとコンプガチャショック
マスクド: 現在はデータ分析ツールの開発を手掛けるnehanの社長ですが、これまでどのような道を歩んでこられたのでしょうか。
中原:東北大学の数学科で学んだガチガチの分析系出身です。数学の知識を生かした仕事を目指していたのですが、新卒で就職した会社ではリーマンショックの影響で、入社直後に営業へ配置転換されました。結局、半年ほどで退職したのですが、大学時代の縁でコロプラに転職できました。
マスクド:コロプラは、今はスマホゲームで有名ですね。
中原:当時はまだ十数名の会社で、位置情報アプリやケータイゲームを作っていました。私は広告宣伝部門に配属されて、ゲーム広告の効果測定をやっていました。でも、広告のデータは「何人見た」「何人クリックした」「何人購入したか」というデータがほとんどで、もっと多くの種類のデータを見てみたいと思うようになりました。
そこでゲーム会社のデータ分析者になりたいと思い、ドリコムに転職しました。ヒットゲームを持っていて、私が転職先を探していたとき、ちょうどゲームのデータ分析チームを立ち上げる準備を進めていたんです。一からチームを作る経験は貴重なので、ドリコムに決めました。
マスクド:組織の立ち上げ直後となれば、全部自分でやらなければいけませんね。
中原:当時はプログラミング経験がなく、そこで初めてSQLやRに触れました。プログラムが書けない人の気持ちが分かったのは大きかったですね。
しかし、データ分析の結果を反映するだけではゲームのプレイヤー数を伸ばせない時代を迎えます。「パズドラ(パズル&ドラゴンズ)」の登場です。パズドラはボスの強さやガチャの確率という観点ではなく、単純にゲームが群を抜いて面白いんです。そうなると、データ分析ではなく、面白いゲームを作るという企画やアイデアが重要になります。
また、ゲームを取り巻く環境もコンプガチャショック(2012年5月に消費者庁がコンプリートガチャが違法であるとゲーム会社に注意を喚起)で厳しくなり、業界に対しての不安もありました。
マスクド:就職した時にはリーマンショックで、次はコンプガチャショック。
中原:そんな中、ドリコムの社員がデータ分析スキルを売りにした「DATUM STUDIO(デイタム スタジオ)」という会社を立ち上げました(2014年8月)。そこに私は2人目の社員として入社し、いろいろな業界のデータを分析しました。