本記事の前編はこちらから。
DMM.comの課題に即したマネージャー教育をCTOが自ら実施
――前編では、新卒研修について詳しく伺いました。後編ではまず、マネージャーの教育をどのように行っているか聞かせてください。
松本勇気氏(以下、松本):マネージャーに対しても広い範囲にわたって教育を行っており、およそ月1回のペースでCTOである僕が直接実施しています。そこでは僕自身が資料を作成して、ワーキンググループと一緒に「マネジメント研修」を運用しています。
研修の内容は、たとえば「チームのメンバーのモチベーションをどうやって上げていくのか」「1on1の意義とは何か、また評価とは何か」「そもそもマネジメントはどんな歴史をたどってきたのか」など。最近はいわゆるピープルマネジメントから、次第にプロジェクトマネジメント的なところにまで範囲を広げつつあります。当面はこのコンテンツを何回か繰り返して展開していく予定です。この他に他社のマネジメント研修のカリキュラムなども、必要に応じて利用しています。
――どこの会社もマネジメント層の育成には苦労しています。参考にカリキュラムの作り方を教えていただけますか。
松本:世の中に出回っているマネジメント育成の本などは、より幅広い読者層に受け入れてもらえるように「広く、浅く」の内容がほとんどです。しかし当社では、DMM.comという会社にカスタマイズした形で、「我々の課題はこれで、だからこそこういう施策を打っていくんだ」という、取り組みの意義までを明確に理解してもらえるカリキュラムを作りたいと考えています。
具体的には「1on1の意義」「MBOやOKRの概念の理解と導入」といったテーマを設けて、ワークショップ形式でみんなで話し合い、メンバーがわからない事柄については1つずつ僕が教えていくようにしています。
――マネジメント教育では、まず会社のビジョンがあって、それをマネージャーに伝達していくことが重視されます。
松本:ですので、最初にDMM TECH VISIONを正確に伝えて理解してもらい、その実現のために進めている施策の意義を学び、その上でそれをインストールするための研修に入ります。こうしたステップを設けている理由は、段階を踏んで学び体感していくことで、初めて現場に受け入れられるからです。とはいえ、実際には始めたばかりでまだまだ道半ばですし、これからもっと内容的にも発展させていきたいと考えています。
もともとDMM.comは会長(亀山敬司氏)が作った仕組みの上でどんどん事業がふくらんで成長してきたので、これまで体系的なマネジメントが社内に存在していなかったのです。それだけに、「もっと体系的にやれば楽に、しかも効果的にできるようになる」という話をするだけでも十分に反響がありました。今後さらに内容を充実させていけば、まだまだ効果は上がっていくと期待しています。
大久保寛氏(以下、大久保):中途入社でも、前職でマネジメントの研修を受けた経験があまりないという人に、当社での研修の感想を尋ねると、「自分でもかなり変わった」という声が返ってきます。また、他社でマネジメント経験がある人でも、「今までは経験則だけでやってきたので、DMMのカリキュラムできちんとアップデートしてほしい」という要望もあります。彼らを見ていると、どんな研修であれ、根気強くやり続けることが大事なのだと感じます。