同調査は、2020年4月23日~4月30日に、人材採用に関わる人事および経営者を対象として実施された。結果の概要は以下のとおりに発表されている。
オンライン面接を実施している企業は全体の7割
回答した企業336社中、オンライン面接を実施している企業は7割(下図の「日常的に実施」と「最近から実施」の合計で70%)となった。そのうちの半数以上がオンライン面接を始めたきっかけを「新型コロナウイルスにともない外出・来客ができないため」と回答。また、オンライン面接を実施することによる効果としては「居住地にかかわらず多くの候補者と面接できるようになった」が最も多く、次いで「面接のスケジュール調整がしやすくなった」が多かった。自由解答の中には「交通費負担がなくなりコスト削減につながった」との意見も複数見られた。
42%の企業は1度も直接会わずに採用を決定
42%の企業が、1次面接から最終面接まで全てオンライン面接で行い、採用するか否かを決定できると回答した。人物像をつかみづらいオンライン面接をする上での工夫として、「面接官や面接回数を増やす」「対面の面接よりも質問数を増やしている」といった回答が寄せられた。
また、企業側は候補者への配慮として「背景を会社のショールームの画像にしている」「対面で面接を行うときよりも多くの情報提供を行うようにしている」といった工夫をしている企業があった。さらに、「面接の内容を録画・録音されSNSに拡散されるリスクがあるため、やや保守的に発言している」企業もあるなど、オンライン面接ならではの対応に迫られている様子がうかがえる。
規模の小さい会社ほどオンライン面接を行わない傾向に
一方で、全体の18%の企業はオンライン面接を「(現在も行っておらず)今後も行う予定はない」と回答。「今後も行う予定はない」と回答した企業の大半が、その理由として「実際に会わなければ、候補者のことは分からないと思う」と回答している。これはオンライン面接を実施している企業からも「(オンライン面接では)職務専門性の評価は問題なく行えるが、人物の雰囲気や人となりがつかみづらい」という、オンライン面接のデメリットについての回答が述べられた。
なお、社員が100人未満の企業の35%が「今後もオンライン面接を行う予定はない」と回答し、次いで100人〜299人の企業が21%、300人〜999人の企業が10%、1000人以上の企業が0%と、企業規模が小さくなるほどオンライン面接を行う予定はないと回答した割合が多くなった。大企業はスキルや経験を重視し、中小企業は候補者と直接会い性格や人となりなどの職務専門性以外の部分を重視する傾向であることがわかる。
ジェイ エイ シー リクルートメント 海外進出支援室 アドバイザー 野田作郎氏は今回の結果を受けて、これまで限定的だったオンライン面接が、新型コロナウィルスの感染拡大を機に、実施企業が一気に増えたことを指摘。以前は多数派だった「面接の際来社を前提とする企業」が、コロナ渦でもその方針を変えないことで求職者からネガティブに評価されることになりかねないと述べている。