Dropbox Japanは、日本国内の企業・組織の有識者1000名を対象として、テレワークに関する意識・実態調査を実施した。調査を実施した5月11日〜12日において、テレワークを行っていたのは回答者の40.2%。
導入率には地域や業種の差が見られ、地域別では関東が54.3%、業種別では通信・情報サービス関連企業が62.3%と突出している。外資系企業と政府・公共機関ではいずれも半数強がテレワークを導入しているが、外資系企業では週の半分以上からほぼ完全にリモートで働いている人が多いのに対し、政府・公共機関などでは週に2日以内の部分的な実施にとどまる。また、テレワークを実施していない人の54%が、テレワークできる業務が全くないと回答している。
テレワークの実施上の課題としては、社外からのアクセスができない(しにくい)ファイルの閲覧、紙の資料の確認や押印作業が不便だった、という事情が挙げられた。週3~4日程度のリモートワークを実施している回答者のうち約45%が書類の確認などのために出社した経験があり、課題感を持っている。
テレワークの効果としては、長時間労働の是正やワークライフバランスといった点に期待が寄せられている。ただし、特に経営者から部長クラスの48.9%は、テレワークのメリットを感じていない。その一方で、テレワークを実施する頻度が高いほど、在宅勤務で時間を有効活用できていると感じているようだ。1日平均2時間以上有効に活用できていると回答した人は、週2日リモートワークを実施している人の43.5%、週3~4実施している人の58.2%、週5以上の人で65.7%という結果であった。
自分が就業する会社を選択する際、在宅勤務環境の有無が影響するかという問いに対して、20代回答者の60.7%が影響すると答えている。また、通信・情報サービス業界の回答者では59.6%、すでにリモートワークを導入している層では63.2%と、同様に高い傾向がみられた。また、テレワークを実施している人の約8割が、パンデミック収束後もテレワーク体制の整備・強化を希望している。具体的には、PCなどのデバイス支給、社内資料への安全かつ便利なアクセス環境の整備、承認プロセスの可視化といった、インフラ整備に係るものであった。
なお、一般社団法人日本テレワーク協会 事務局長の村田瑞枝氏は、今回の調査の結果を受けて次のように述べている。
「テレワークの実施経験がある方ほどテレワークのメリットや効果を実感していただけたことは嬉しい結果です。従来より、『テレワーク推進のためには“粘土層:古い価値観に固執して 新しい発想に慎重になっている層(上からの水を下に通さない)” や “岩盤層:自らの考えに固執して決してそれを曲げない層”の意識改革が重要』と認識しており、経営者~部長クラスの方に本来の意味でのテレワークを実体験していただき、メリットを認識していただくことが次のステップになると考えています。テレワーク時代の管理職には離れた場所で働く部下たちの自律や成長を促し、チームの成果を上げることが期待され、部下が自助自走できるよう部下の力を引き出し、育てるマネジメントが求められています」(村田氏)