ベネッセi-キャリアが運営する、まなぶとはたらくをつなぐ研究所は、新卒採用の現状とその認識に関する動向調査「企業の『新卒採用動向』における調査 2025」の結果を発表した。
採用手法については、従来主流である「一括採用」が依然として53.3%と最多となったが、「通年採用」(27.5%)や「職種別・コース別採用」(16.5%)も一定の割合を占めており、手法の多様化がみられた。また大学とは、半数を超える企業(50.6%)が何らかの連携を進めている。大学と連携したプログラムでは「オープンカンパニー」と「汎用的能力活用型インターンシップ」が中心となっている。




選考基準の面では、「人柄や性格」(59.5%)を重視する企業が最も多く、次いで「自社への熱意」(43.5%)、「汎用的スキル(思考力・問題解決力など)」(42.6%)が続いた。「汎用的スキル」は大学や企業双方で重要性が認識されており、産学連携で育成を強化する必要性が浮き彫りとなった。一方で、企業が採用時に求める水準と実際に採用した学生の水準との間で最もギャップが大きかった項目も「汎用的スキル」(14.3%)であった。ギャップを感じないとする企業は12.2%にとどまり、多くが課題意識を持っている。

選考開始時期については、企業のインターンシップなどのプログラムの選考開始時期が大学3年生の4~5月に集中しており(48.6%)、大学側の認識(53.4%)とほぼ一致している。大学の「学生を評価して欲しい項目」も一致しており、「人柄や性格」「自社への熱意」「汎用的スキル」が共通して上位となった。

また、大学に対しては「企業の選考情報の提供」(37.3%)や「合同説明会の開催」(29.4%)といった直接的な採用支援の要望とともに、「業界・職種等のキャリア研究のカリキュラム」(27.9%)など学生の視野を広げる取り組みへの期待も高まっている。

まなぶとはたらくをつなぐ研究所の所長・岡安亮氏は、就職活動の早期化が進み、情報収集やキャリア観の醸成が低学年次から必要になっている現状を指摘。また、企業が求める「汎用的スキル」と学生に備わっているスキルの間には顕著なギャップがあるため、企業による評価基準や求める水準の明確化、それらを大学・学生側に具体的に伝えることの重要性を強調した。同時に、大学にも汎用的スキル育成の強化と、その成果を可視化する努力が求められていると述べた。
調査概要
- 調査名:企業の「新卒採用動向」における調査 2025
- 調査目的:企業の新卒採用動向と学修歴社会に向けた認識状況の把握
- 調査対象:企業の新卒採用の担当者
- 調査期間:2025年6月16日~6月27日
- 調査方法:インターネットを利用したアンケート調査
- 延べ回答数:823社(従業員数1000名未満:383社、1000名以上:440社)
【関連記事】
・理系27卒はすでに4割が内々定を獲得 全体の内々定率も約3割と新卒採用の早期化は止まらず—学情調べ
・新卒3年目以内の約7割が「いずれ辞めたい」と回答 辞めていない理由は「転職活動が負担」—コーナー調べ
・コクヨが新卒採用に「AI面接官」を導入 公平性と個の可能性を重視した採用を加速—VARIETAS

