FRONTEOは日本総合研究所とともに、AI(人工知能)を活用した人事組織コンサルティングサービスの提供を開始する。従業員の就業状況や心理状態をAIで分析し、個別のフォローや人事制度の改定など、各種施策の支援を行う。それにより、ジョブ型雇用やテレワークなど働き方の多様化に対応しながら、従業員の組織へのエンゲージメント向上を図る。
働き方改革関連法により、多くの企業が多様な働き方の導入に取り組んでいる。しかし、テレワークやジョブ型雇用では、メンバーのエンゲージメントの低下、パフォーマンスの低下、メンタル不全などの発見の遅れが懸念されるようにもなってきている。そうした状況から、多くのメリットがあるとされる多様な働き方を実現させるには、従業員の流出を招かないための、エンゲージメントを高める施策が同時に必要と考えられている。
同サービスは、従業員の就業状況や心理状態を自然言語処理AIエンジン「KIBIT(キビット)」で分析する。KIBITでは、教師データとして、過去の従業員面談記録のなかからエンゲージメント低下が懸念された人材(以下、モデル人材)の記録を活用し、その特徴を学習。この教師データをベースに、従業員から継続的に提出されるフリーテキストで記載されたアンケート回答(「仕事・働き方に対する不安や課題感」などがテーマ)を分析する。教師データとの類似度はスコアで算出される。
従来の従業員エンゲージメント調査は、従業員自身が各項目において1~5などの定量的な評価を入力する手法で行われることが多い。KIBITでは、定性的なコメントをスコアリングという形で定量化し、各観点で統一された基準にする。それにより、従業員自身の感覚による評価よりも客観的な定量データを得ることが可能となっている。また、管理職のスキルによってばらつきが出ることが多かったアンケート回答や面談記録の評価も、部署を越えて社内横断的に同じ基準で、一定の特徴を有する人材を抽出することができる。
KIBITのスコアで類似度が高いとされた社員に対しては、各企業が面談などによる個別フォローを行うことで、退職といった事態悪化の防止が期待できる。
さらに、同種の事象の再発防止のため、社内制度の改定や従業員教育などを行う。KIBITによる分析で活用したアンケート回答などのテキストデータを、改めて日本総合研究所のコンサルタントが分析し、これまで蓄積してきた人と組織に関する改革や制度設計、施策導入のノウハウを活用した人事組織コンサルティングを実施。従業員の置かれた周辺状況やエンゲージメント低下の背景を踏まえ、社内横断的な観点から、適切な制度改定や各種施策を支援する。