それまでの採用業務とオンライン化のきっかけ
私が所属するpaiza株式会社は、ITエンジニア向けで国内最大級の転職・就職・学習プラットフォーム「paiza(パイザ)」を運営する会社です。もともとは株式会社エムアウトの新規事業として生まれ(2020年3月にMBOにより独立)、バックオフィスは同社のインフラに頼っていました。当時の採用面接は従来型の対面形式で、応募書類なども紙でのやり取りがメイン。履歴書・職務経歴書・ポートフォリオなどを毎回面接官の人数分用意していたほか、選考結果も紙に書いてやりとりするなど、紙ベースでの書類管理が当たり前という環境でした。
バックオフィス以外の業務では、社内の情報共有ツールとしてConfluenceやGoogle Workspace、コミュニケーションツールとしてSlackを導入するなどしています。そういったスタートアップ企業らしい一面がある一方で、バックオフィス周りでは従来型の仕組みが残るという、いびつな状態が続いていたのです。
そんな中、MBOにより、バックオフィス体制を自前で整えることになりました。ほぼ同時期に新型コロナウイルスの感染拡大となり、通常の採用業務もできなくなりましたが、当社ではこれをむしろ好機ととらえ、「これからの時代にふさわしい採用業務の形」を目指して採用業務のオンライン化を進めています。第1段階として「面接のオンライン化」と「書類管理のオンライン化」に重点的に取り組んでいます。
面接をどのようにオンライン化したか
面接のオンライン化は、社員のリモートワーク対応とともに、新型コロナウイルスの感染拡大以降、急速に推し進めました。
オンラインでの面接を実施するにあたり、重要なのがツールの選定です。まずは自社で面接のツールに求める条件を明確化することから始めました。
当社では以下の条件でツールを選定しました。
- 入室できる人を制限できる(面接に関係ない人が誤って入らない)
- 連続、もしくは並行で面接があるとき、入る場所を間違えない
- 同じ時間帯に2つ以上の面接が組める
企業によって、これ以外にも外せない条件があったり、逆にもっと少ない条件でも問題なかったりすると思います。
すでにリモートワークを実施している企業は、業務で使っているツールが条件を満たすのであれば、それを第1候補で考えるとよいと思います。経済的コストはもちろん、面接官の学習コストも削減できます。
当社を例にとると、実は以前から遠方の応募者の面接に限って、オンライン会議システムのWhereby(当時はappeer.in) を利用していました。しかし、社内のリモートワークで全社的にZoomの利用を開始したタイミングで、面接用ツールもZoomへ移行し一本化しました。
現在は最終面接以外をすべてオンラインで実施
ツール選定の次に、オンライン面接実施の条件を緩和しました。これまでは遠方からの応募者に限定していたオンライン面接を、応募者の居住地にかかわらず実施するように社内ルールを改定し、最終面接以外の面接はすべてオンラインでの実施にしました。
もちろん、ただオンライン化して終わりではありません。対面と比べるとどうしても1回の面接で得られる情報量が減ってしまう部分があります。面接に参加する人数や各面接官の参加回数を何度も調整しながら「しっかり応募者を見極められるオンライン面接」を今も模索しています。
また、先ほど「最終面接以外は」と書いたとおり、今も最終面接だけは原則対面で実施しています。これはオンラインと対面で印象が大きく異なる候補者がどうしてもいるからです。当社では現在リモートワークで業務を行っていますが、本来はオフィスでの直接のコミュニケーションによる業務が基本だと考えています。そのため、「隣に座って働きたいと思える方かどうか」は非常に重要な要素です。選考では必ず一度は対面の機会を設け、最終的な合否を決めています。
オンライン面接を導入する際は、自社が面接で見極めたいことを整理し、それを実現するためにオンラインと対面の面接をうまく組み合わせながら運用するとよいと思います。