デロイト トーマツ グループは、新時代における人事部門・人材活用の課題とトレンドをまとめた「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2021 断絶した世界の中のソーシャル・エンタープライズ:生き残りから成長へのシフト」を公開した。
同調査は人事、人材、リーダーシップに関するグローバル調査で、実施は今年で11年目。今回は世界99か国・約6000人の人事部門責任者と管理職などへのアンケートをもとに、人事・組織・働き方のトレンドを解説している。
具体的には、前回「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2020」で取り上げた5つのトレンドをさらに深掘りし、組織が「生き残り」から「成長」へとマインドシフトし「ソーシャル・エンタープライズ[1]」へ変革していく上で必要な「人間らしさ」をどのように引き出すことができるかを考察している。
グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2021で紹介している5つのトレンドは次のとおり。また、同資料(PDF)はデロイト トーマツのWebサイトでダウンロードできる。
- ウェルビーイング:制度の充実だけでなく、組織文化としてウェルビーイングを仕事の在り方と融合させる
- 仕事の「在り方」そのものにウェルビーイングを組み込めば、従業員は仕事を離れているときだけでなく、仕事中にもウェルビーイングを実感することができます。生活の質を向上させる仕事は従業員のモチベーションを高め、パフォーマンス向上にもつながることから、組織にとってもメリットがある。
- 新しいスキルの獲得を超えて:従業員の自立性と選択権を尊重し、学習意欲、適応性、やりがいを高める
- 従業員が仕事の進め方や習得するスキルを自ら選べるようにすれば、一人ひとりが最もやりがいを感じることにフォーカスでき、エンゲージメント向上につながる。従業員の関心事と組織としてのニーズを融合させることで、従業員のモチベーションとやりがいを高めることは、組織パフォーマンスの向上にもつながることが期待される。
- スーパーチーム:更なる人間らしい働き方を目指しテクノロジーを活用した、スーパーチームを結成する
- テクノロジーの可能性を解き放つことで仕事の在り方を変える一方で、従業員は人間にしかできない仕事にフォーカスすることが重要。個人とチームをつなぐコラボレーションツールや意思決定をサポートするAIなどの活用を通して、人とテクノロジーを融合させたチームはより迅速に、かつダイナミックに成長を遂げることが可能となるだろう。
- 人材戦略:リアルタイムデータを用いて、将来の価値創造の在り方を見据えた洞察を導き出し、組織と従業員の価値を高める
- 日々不確実性が増す世界においては、従業員の状況を正確に把握してニーズに真摯に応えていくこと、従業員が能力を高めながら組織と目指すべき方向性を合わせることが重要。従業員が何の仕事にどのように取り組んでいるのかを組織が知ることで、一人ひとりの潜在能力を引き出すための新しい働き方のヒントが得られるだろう。
- HRへのメモ:HRの役割を制度の導入と推進にとどめず、組織全体における変革を主導する役割にシフトさせていく
- 組織が真に「人間らしく」あるために、HRはビジネスリーダーと誰が、何を、どのように、そしてなぜ一つひとつの仕事に向き合うのかの議論を重ねながら、仕事のあらゆる側面に人間的要素を取り込む上での主導的な役割を担うことが求められるようになる。
注
[1]: 「環境やステークホルダーのネットワークを尊重・支援する」という使命を、成長と利益の向上に結びつける企業。