マイクロソフト技術者認定資格の体系
MCPの説明に入る前に、そもそもマイクロソフト技術者認定資格の体系はどうなっているのかを見て行きましょう。マイクロソフト技術者認定資格の階層構造を示したのが次の図です。
- MTA(マイクロソフト認定 テクノロジー アソシエイト)
- MCSA(マイクロソフト認定 ソリューション アソシエイト)
- MCSE(マイクロソフト認定 ソリューション エンジニア)およびMCSD(マイクロソフト認定 ソリューション デベロッパー)
簡単に説明すると、「MTA」はエントリーレベルの資格、「MCSA」はアソシエイトレベルの資格、「MCSE」と「MCSD」はプロフェッショナルレベルの資格といえるでしょう。
注意したいのは、エントリーレベルのMTAが、本稿の説明対象となるMCP資格ではないということです。また、MTAは、MCPを取得するための前提条件でもありません。ただし、マイクロソフトもMTAの上位資格へのパスを紹介していますので、MCPへ進むためのファーストステップとして使える資格だといえそうです。
MCPという試験は存在しない
先の図でも示しましたが、MCPは、MCSA認定資格とMCSE/MCSD認定資格で構成される資格の総称です。つまり、MCPという個別の資格や試験は存在しません。
なお、マイクロソフト認定資格には、このほかMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)とスペシャリスト(Specialist)がありますが、どちらもMCPとは別体系の資格です。MOSはExcelやWordといった、Microsoft Office製品に特化した資格になり、スペシャリストは特定の専門分野またはテクノロジーにおける経験および知識を証明する資格になります。
それでは、MTA、MCSA、MCSEおよびMCSDの概要について、下位資格から順に説明して行きましょう。
MTAとは
MTA(マイクロソフト認定 テクノロジー アソシエイト) は、もっとも入門的な資格になります。試験では、幅広い角度からテクノロジーの基本的な概念を扱い、コアとなる技術知識を評価します。
MTAには「ITインフラストラクチャ」「データベース」「デベロッパー」という3つのトラック(専門分野)があります。各トラックには1つあるいは複数のタイトル(試験)が用意されており、その中で1つ合格することで、そのトラックにおけるMTA認定を取得できます。
「ITインフラストラクチャ」トラック
デスクトップインフラストラクチャや、サーバーインフラストラクチャ、またはプライベートクラウドコンピューティングでのキャリア構築を目指している人向けのトラックです。次のタイトルからいずれか1つに合格することで、「MTA:ITインフラストラクチャ」認定を取得できます。
- Windowsサーバー管理の基礎(試験番号:98-365)
- ネットワークの基礎(試験番号:98-366)
- セキュリティの基礎(試験番号:98-367)
- Windowsテクノロジの基礎(試験番号:98-368)
- クラウドの基礎(98-369)
「データベース」トラック
データプラットフォーム管理またはビジネスインテリジェンスでのキャリアを構築することを目指している人向けのトラックです。次のタイトルの試験に合格することで、「MTA:データベース」認定を取得できます。
「デベロッパー」トラック
ソフトウェア開発者としてキャリアを構築することを目指している人向けのトラックです。実践的な製品トレーニンやMCSD認定の準備に役立つ内容になっています。次のタイトルのいずれか1つに合格すれば「MTA:デベロッパー」認定を取得できます。
- ソフトウェア開発に関する基本事項(試験番号:98-361)
- HTML5 Application Development Fundamentals(HTML5 アプリケーション開発に関する基本事項)(試験番号:98-375)
MCSAとは
MCSA(マイクロソフト認定 ソリューション アソシエイト)は、持続可能なITキャリアを構築するための主要な技術スキルを身につけていることを証明する資格です。
現在リリースされているMCSA認定資格は、次の13種類です。
- MCSA:Cloud Platform
- MCSA: Web Applications
- MCSA: Universal Windows Platform
- MCSA: Windows Server 2016
- MCSA: Windows Server 2012
- MCSA: Windows Server 2008
- MCSA: Windows 10
- MCSA: SQL 2016 Database Development
- MCSA: SQL 2016 Database Administration
- MCSA: SQL 2016 Business Intelligence Development
- MCSA: SQL Server 2012/2014
- MCSA: Office 365
- MCSA: Linux on Azure
それぞれの認定資格を得るには、認定資格ごとに用意される試験をすべて、または選択した複数の試験合格が条件になります。試験数は認定資格によって異なりますが、2〜3試験に合格する必要があります。
資格ごとの試験体系については、稿を改めて解説します。
MCSE/MCSDとは
MCSE(マイクロソフト認定 ソリューション エンジニア)、MCSD(マイクロソフト認定ソリューションデベロッパー)は、どちらもMCSAの上位資格にあたり、内部設置型とクラウドの両方で、マイクロソフトの複数のテクノロジーにわたるソリューションを構築する能力を証明する資格です。MCSEはエンジニア向け、MCSDはデベロッパー向けと対象は異なりますが、ターゲットとするレベルは同じだといえるでしょう。
現在リリースされているMCSEおよびMCSD資格に関しては後述します。
MCSE/MCSD認定資格は、それぞれの下位資格として位置づけられるMCSAの取得が前提条件となります。そのうえで、取得したいMCSE/MCSD取得のための複数の試験から1つを選択し、合格することで取得できます。