ビズリーチは、広島県福山市が「副業・民間人材登用データベース」を構築するために、同社が運営する人材活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」を提供し、その有効性を実証していくと発表した。なお、今回の取り組みは、福山市が開始する「ふくやまデジタルパートナー制度」の第1弾として行われるもので、 地域経済圏のデジタル化を目的とした、副業・民間人材登用のデータベース構築は自治体初だという。
コロナ禍の影響でデジタル社会の形成が急がれる中、総務省は、自治体デジタル化を推進するため「自治体DX推進計画」を昨年12月に策定。その中で、自治体DXを推進する体制づくりのためには、デジタル化の専門知識を保有した外部人材の登用が重要であるとしている。しかしながら、各自治体のIT戦略を補佐する「CIO補佐官」に、外部人材を任命している都道府県は20.8%で、市区町村では2.2%にとどまっている。一方で、同社が民間デジタル人材に実施した調査では、約8割が官公庁のデジタル化の仕事に興味があると回答し、うち約3割が「副業・兼業」を希望している。
広島県福山市は、2017年に地方自治体で初めて民間人材を副業・兼業で公募。同市では、これまで10名の民間人材を採用し、現在9名が活躍中だ。民間人材が関わったプロジェクトには、インバウンド振興を目的としたデジタルマーケティング、ICT戦略に関するアドバイスなど、デジタル関連プロジェクトも多く含まれる。また、福山市は行政のみならず社会のデジタル化をさらに加速していくために、CDO(最高デジタル責任者)も民間人材を副業・兼業で採用予定という。
このように、これまで民間人材を積極的に採用してきた福山市だが、デジタル関連プロジェクトが増加する中で、新たな課題が生じている。それは「民間人材の適切・スピーディーな登用」だ。これまで福山市は、民間人材を適切・スピーディーに登用しづらい状況にあった。理由は、(1)関わった民間人材のスキルや経験などの情報がアナログで管理されており、新たなプロジェクトへ登用したいときに情報が可視化されていない、(2)プロジェクトごとに採用が必要となり、採用コスト(時間・費用)がかかるという点だ。
そこで今回、ビズリーチはHRMOSを福山市に提供し、副業・民間人材の適切かつスピーディーな登用を目的としたデータベース構築に取り組むに至ったという。HRMOSは、人材情報(または、従業員情報)を一元化・可視化できるクラウドサービスで、柔軟なデータベース設計ができることが特徴。福山市は、HRMOSを活用して「副業・民間人材登用のデータベース」を構築することで、民間人材のスキルや経験、実績・評価などを可視化し、コロナ禍の影響で増加が見込まれるデジタル関連プロジェクトに対して、必要なときに適切な人材をスピーディーに登用できる仕組みづくりを目指す。また、民間人材をプロジェクトごとに採用するのではなく、これまで関わった人材を効果的に登用することで、採用コストの削減にもつなげていく。
なお、副業・民間人材登用のデータベースの構築は、最初に、これまで福山市のプロジェクトに関わった副業・兼業の民間人材の情報を本人の許諾をとった上で登録し、個人情報を保護した上で運用を開始。将来的に、ふくやまデジタルパートナーに登録される民間人材の情報も可視化していく予定。HRMOSは、福山市とともに新しい民間人材登用のスタイルを確立し、日本全国の自治体のモデルケースとなることを目指すという。