リクルートは、中途採用を実施している企業に「2021年度の中途採用計画」についてのアンケートを実施した。調査対象は企業の人事採用業務に関わっている人で、調査期間は2021年3月19日~24日。1015人から回答を得ている。
今年度の中途採用計画については、23.0%の企業が採用人数を増やす(大幅に増やす予定+やや増やす予定)と回答。従業員規模別に見ると、5000人以上の企業の27.3%、1000~4999人の企業の25.6%が中途採用を増やす計画を立てている。99人以下の企業は、21.7%が増やすと回答しており、300~999人以下の企業(増やす20.6%)や100~299人以下の企業(増やす16.8%)を上回った。
過年度までに中途採用のために取り組んだ人事施策は、「残業削減などの働き方改革」(64.7%)や「テレワーク導入など、働き方の柔軟性向上の工夫」(63.5%)が他を大きく上回った。また、回答者数の半数以上にあたる56.7%の企業は、2021年度に新しい取り組みを検討していると回答した。それらの人事施策は、「兼業・副業容認などの人事制度改革」(18.6%)、「新しい採用ブランディング施策の実施」(17.0%)、「地域限定社員の導入」(15.8%)が多い結果となった。
新たに活用を検討している手法では、「オンライン面接」(22.7%)、「オンライン説明会」(21.0%)、「SNSを通じた募集」(19.4%)、が上位となり、テクノロジーやデジタルツールを積極的に活用していく状況がうかがえる。また、過年度までに、「オンライン面接」(39.7%)と「オンライン説明会」(35.8%)の活用はそれぞれ約4割に迫っていたが、2021年度でも多くの企業がそれらの活用を検討している。
リクルート HR統括編集長の藤井薫氏は、調査結果を受けて次のように述べている。
「積極的な中途採用計画、新たな人事施策の推進、新たな採用手法への意欲。こうした背景にあるのは、構造的な人材不足と、企業のコロナ収束後を見据えた事業拡大、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、そして、新型コロナウイルス禍でライフフィット志向を高めた働く個人への企業の向き合い方の強化です。変化に適応し、新たなビジネスを推進する人材を、いかに惹きつけ、事業成長コミットと才能開花を実現してもらうか。これは、人的資本の力で変化の時代を拓く全ての企業の経営的命題だと思います。
変化の時代を共に歩みたいと思えるPurposeのある事業計画。終身雇用より終身成長に資する機会、その方途の1つとしての兼業・副業の容認。暮らしと仕事を高次で実現するクラシゴト改革[1]がある職場、その方法としてのテレワークや在宅勤務などの新たな人事制度の推進、遠方からでも多忙な勤務の中でのスキマ時間でも企業と効率的に対話できるオンライン面接。採用プロセスのDX化に見る企業のDX適応力…。新型コロナウイルス禍での新たな仕掛けを行おうとする今年度の中途採用計画。そこには、変化の時代を新たな人の力で切り拓こうとする経営と人事の力戦奮闘の姿が見えてきます。多様な才能開花を経営の力に変える思想と実践。中途採用計画の変容から、企業の人的資本経営の変化が始まろうとしています」(藤井氏)
注
[1]: コロナ禍でのテレワーク浸透をきっかけに時間、場所の自由裁量が広がり、生き方そのものをデザインし直す「暮らし方」×「働き方」の変化。