シード・プランニングは、HRテクノロジーに関する最新動向について調査を行い、その結果をまとめ、発表した。本調査は、2019年に続き2回目となる。調査方法はHRテクノロジー主要21社へのヒアリングで、2020年6月~2021年5月に行われた。
社会的なデジタルトランスフォーメーションの進展とともに、企業の人事業務全般にわたりHRテクノロジーは継続的な普及が見られた。一方で、これまでその取り組み姿勢は、企業の方針や業種特性などにより大きなばらつきが見られた。
また、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大により、業種や規模の大小を問わず、企業は採用活動の一時的な見直しを行うこととなった。それに加えて、人事業務の一部または大部分にわたり、業務フローの見直しと同時にITテクノロジーの導入を余儀なくされる事態となった。
同調査では、人材育成や採用活動、人事評価などの人事領域の施策や業務全般につき、それらの効率化、精緻化、高度化を行うためのIT技術を用いたクラウドサービスをHRテクノロジーと定義し、その機能に応じて独自に分類を行った上で、対象とするサービスにより構成される市場規模を独自に算出し、2025年までの将来予測を行っている。

新型コロナウイルス拡大により、2020年の企業の求人需要は大幅に減少した。2020年後半以降は回復基調が見られるも、2020年年間を通して低調に推移した。これに伴い、2020年のHRテクノロジー市場は、採用領域のサービス需要が停滞し市場全体の成長の抑制要因となった。その一方で、人事・労務管理業務のデジタルトランスフォーメーション化を前倒しで進める企業需要により、採用領域の一時的な需要減をカバーし、引き続き市場全体で堅調な成長を遂げた。これらを背景に、2020年のHRテクノロジーの市場規模は前年比115%、1381億円に拡大した。
2021年は、前年からの反動需要および中長期的な人事・労務管理業務領域のデジタルトランスフォーメーション化に向けた需要拡大により、前年比124%、1,716億円に拡大すると予想される。多様化する個人の働き方を尊重し、個人と企業との関係性におけるベストマッチングを実現することを後押しするテクノロジーに対する需要は今後もますます高まると期待され、HRテクノロジー全般に対する需要は今後も高い水準で拡大すると予想される。これらを背景に、HRテクノロジー市場は2025年には3278億円、2020年比約2.4倍に成長することが予測される。
同調査結果の詳細は、5月31日発刊の市場調査レポート「HRテクノロジーの現状と将来展望 2021年版」(株式会社SP総研/株式会社シード・プランニング 共著)で確認できる。