全社員が身に付けるべき“本当に必要な”ITリテラシーとは
――先ほどお見せいただいたワークフローはSI企業向けのイメージがありますが、事業会社でDXを進める人材に必要なITリテラシーを言語化すると、どうなりますか?
日本企業の皆様がイメージされているITリテラシーというのは、「ITを活用する」あるいは「ツールやアプリケーションを操作する」ことのように思います。しかし、DXを進める人材になるには、その意味でのITリテラシーだけでは足りません。データをセキュアな環境で正しく活用するためにはセキュリティの知識が欠かせませんし、アプリケーションだけでなく、デバイスやネットワーク、データベースや簡単なプログラミングの理解も必要になってきます。つまり、データの運用のために、身の回りのIT環境を「分かって使える」必要があります。
CompTIAでは、この「分かって使える」レベルで、全社員が身に付けておくべき知識を「インフラ」「開発」「データ」「セキュリティ」の4つで定義した「CompTIA IT Fundamentals(通称ITF+)」をご用意しています。DXの推進に貢献するためのデータの運用力の目安としてお使いいただけます。ワークフローにIT資格を割り当てると、IT Fundamentalsは次図のようなポジショニングとなっており、DXに関わる全ての方が持つべき、コモンセンスです。
――たしかに、ありもののツールを使えるだけでは、それ以上の発想ができませんから、DX人材に求められるITリテラシーとして不十分であるというのは、よく理解できます。つまり「IT Fundamentals」は社員のITリテラシーの底上げを図りたい企業におすすめの認定資格であると。
そうです。結局、事業会社の皆様がDX人材の育成でお悩みになるのは、最低限必要な知識の基準が分からないからだと思うんですね。ですが例えば、社内で独自の試験をつくってしまうと、自社の文化や過去の成功体験に縛られ、DXの推進に紐づくとは限りません。だからこそ、客観性があり、DXにおけるデータ運用に欠かせない身の回りのIT環境を「分かって使える」知識の目安として、「IT Fundamentals」をうまく活用していただけたらと考えています。
――「IT Fundamentals」の出題範囲を教えていただけますか。
ITの概要と専門用語、インフラストラクチャ、アプリケーションとソフトウェア、ソフトウェア開発、データベースの基礎、セキュリティです。先ほどもご紹介した「インフラ」「開発」「セキュリティ」「データ」の基本を網羅したエントリー資格になっていますので、入社前の学生さんや新入社員などITの活用、データの運用力を期待される方や、営業・マーケティングといった、実務でIT活用、データ活用を必要とされている方などに、特にお薦めです。