学情は、2023年卒学生対象「就職人気企業ランキング」を発表した。調査期間は、4月1日~10月31日。2023年3月卒業予定の大学3年生、大学院1年生8249名から回答を得ている。
総合ランキングのトップは4年連続で伊藤忠商事がランクイン。新型コロナウイルスの影響で売上・利益を減らす企業が多かった中、情報・金融部門の好調などもあり、純利益で5年ぶりに商社首位に返り咲いたことがニュースとなっている。4年連続の総合トップは、2016年卒~2019年卒のランキングにて1位だったANA(全日本空輸)以来2社目で、人気の高さがうかがえる。
2位に講談社、3位に集英社がランクイン。漫画・アニメブームに加え、ビジネスのデジタル化が進んでいることが人気を押し上げる結果となった。12位のKADOKAWAや、43位の小学館も電子書籍が好調。漫画コンテンツのデジタル化により、漫画に強い出版社は出版不況を抜け出し、成長軌道に乗ったといえる。電子書籍市場はコミックが9割以上を占めており、漫画に強い出版社が人気を集めている。
例年人気の食品メーカーは今年も強く、前年と同じくアサヒ飲料、味の素、ロッテがトップ10に入った。トップ50に11社がランクインし、業界別でも最多となっている。巣ごもり需要で昨年順位を急伸させたイオングループ(前年10位)は、順位を1つ上げ9位に入った。コロナ禍で、自宅で食事をする機会が多い状態が続いていることが人気につながっていると考えられる。
2021年卒採用に引き続き、2022年卒採用も多くの職種で採用を中止したANA 121位(前年79位)、JAL(日本航空)152位(同88位)、JTBグループ 31位(同9位)など航空、旅行業界は軒並み順位を下げた。2021年に入っても緊急事態宣言が断続的に発出され、海外からの人の流れも、国内での都道府県をまたぐ移動も制限されたことが影響しているといえる。
一方で、自宅から1~2時間の距離での旅行を楽しむマイクロツーリズムを打ち出した星野リゾート・マネジメントが21位(前年92位)に入ったほか、帝国ホテル53位(同200位)や、ミリアルリゾートホテルズ70位(同220位)も順位を押し上げた。ホテル業界はコロナ禍でも採用を継続する企業も多く、航空や旅行などサービス系の仕事を希望する学生の受け皿になっていると推察される。秋に感染状況が落ち着いたことも影響し、コロナ後を先取りしたような動きを見せている。
地方自治体も人気を集めている。東京都15位(前年33位)のほか、福岡県47位(同252位)、大阪府68位(同91位)、神奈川県82位(同204位)が100位以内にランクイン。コロナ対応で自治体の仕事に関心が集まった影響もあると考えられる。