HRzineは12月22日、電子書籍『人事労務事件簿 裁判例に学ぶトラブル防止策』を刊行した。HRzineの連載「人事労務事件簿」12回分を再編集し、1回分の書き下ろしを収録したもので、著者は坂本直紀社会保険労務士 代表社員の坂本直紀氏。価格は880円(税込み)。
同書では、パワハラ、セクハラ、過労自死、賃金の未払いなどで、従業員側から訴訟を起こされ、会社側が敗訴したケースを取り上げ、その経緯から裁判所の判断、原因の分析、問題を未然に防ぐために取るべきだった施策までを解説。どのケースも、「そのようなあからさまな問題を放置するはずがない」と感じるが、訴訟に至るまで人事や経営層が取り沙汰しなかった、あるいは不十分な対応をしたものである。
人事としては、同書で挙げているような問題に対し、改めて意識を高めることはもちろんだが、どのような法的根拠で会社側が敗訴したのかも確認しておきたい。それにより、未然の対応を迷わず正しく行えるからだ。法律に関わる説明も平易で理解しやすいので、人事の方に広くお勧めしたい一冊である。
目次
- 事件簿 1二次会でのセクシュアルハラスメント(大阪地裁 平成10年12月21日)
- 事件簿 2就業規則の解釈誤りなどで、うつ病解雇無効(東京地裁 平成22年3月24日)
- 事件簿 3上司のパワハラと自殺に関する安全配慮義務違反(徳島地裁 平成30年7月9日)
- 事件簿 4違法な退職勧奨と精神障害の悪化(京都地裁 平成26年2月27日)
- 事件簿 5マタハラによる使用者責任と健康配慮義務違反(福岡地裁小倉支部 平成28年4月19日)
- 事件簿 6過労自殺と安全配慮義務違反(京都地裁 平成17年3月25日)
- 事件簿 7管理監督者に該当せず、割増賃金遡及払い(東京地裁 平成18年8月7日)
- 事件簿 8男性の育児休業取得による不利益取扱い(大阪高裁 平成26年7月18日)
- 事件簿 9定年後嘱託契約社員の雇止め無効(東京地裁 令和2年5月22日)
- 事件簿 10事業場外みなし労働時間の適用、認められず(東京地裁 平成26年8月20日)
- 事件簿 11育児負担の重さを考慮、転勤命令認められず(東京地裁 平成14年12月27日)
- 事件簿 12指揮命令下での業務委託契約、労働基準法上の労働者に該当(大阪地裁 令和2年9月3日)
- 事件簿 13内定取消し無効と損害賠償(東京地裁 平成16年6月23日)