厚労省がワーケーションを勤務の一形態に、企業も制度導入へ
1月21日から、1都12県への「まん延防止等重点措置」の適用がまたしても始まった。企業は事業を継続するためにも、緊急時における働き方の1つである在宅勤務(テレワーク)を推進しなくてはならない。
日本の労働生産性は低位にあり、2020年は経済協力開発機構(OECD)加盟国38ヵ国のうち23位だった。これは1970年以降最低だが、日立製作所のようにテレワークで労働生産性を高める企業も登場してきた。テレワークに消極的な企業は生産性が低い、とはいわないが、米国では在宅勤務が一切できなかった場合に失われるGDPの水準を実際のGDPと比較し、テレワークがもたらす経済におけるレジリエンスの重要性を指摘する動きもある。テレワークの使いこなし力が企業の事業継続性を高めることは間違いない。
厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」では、テレワークはもちろん、普段のオフィスと異なる場所で余暇を楽しみつつ仕事を行う、いわゆる「ワーケーション」についても、情報通信技術を利用して仕事を行う場合には、モバイル勤務、サテライトオフィス勤務の一形態として分類できるようにしている。テレワーク同様に仕組みはあるが、ワーケーションも使いこなせている企業はまだ少ない。
このワーケーションは生産性・心身の健康にポジティブな効果があることが、NTTデータ経営研究所らの実証実験で見えてきている。実験成果として挙げられているのは、以下の5つだ。
- 経験することで、仕事とプライベートの切り分けが促進される
- 情動的な組織コミットメント(所属意識)を向上させる
- 実施中に仕事のパフォーマンスが参加前と比べて20%程度上がるだけでなく、終了後も5日間は効果が持続する
- 心身のストレス反応の低減(参加前と比べて37%程度)と持続に効果がある
- 活動量(運動量)の増加に効果がある(歩数が参加前と比べて2倍程度増加)
テレワーク同様に、企業の制度導入も始まっている。11月にはITサービスのシーエーシー(CAC)が長崎市と連携協定を結び、ワーケーションを同市で体験する制度を導入。社員がワーケーションを体験する。同社は長崎県に事業拠点を持っており、東京の社員のワーケーション先として同市を選んだ。
企業がワーケーションを取り入れることで、社員はどのような変化が期待できるのか。実際に体験して探ってみる。