藤田観光は、「事業計画」として推進している構造改革の一環として、24年ぶりの全面改定となる新人事制度を4月から導入する。
制度設計にあたり、同社は事前に社員へモチベーションサーベイを実施し、問題意識が高かったキャリアパス体系、等級制度、評価制度、賃金制度などを改定。現状の年功的要素を排除し、会社・商品・自己を変革し挑戦を続ける人、成果を出した人が処遇の面で報われ、キャリアアップが可能となる仕事基準の制度に刷新すると述べている。
同社は、ホテル・旅館・レストラン・スパ・レジャーなど、多岐にわたる事業を展開しており、社員の職種や業務内容も多様となっている。そこで、キャリアパス体系を複線型にすることにより、マネジメント力に重きを置いたゼネラリストから、専門能力を追究するスペシャリストまで、社員が描くキャリア選択の幅を拡大。また、行動等級と職務等級という2本立ての等級制度(ダブルラダー型)を採用することにより、担当する仕事の難易度や遂行度、成果を評価し、昇給・昇格に反映させる実力主義の制度を実現するという。
これ以外にも、同社はキャリア支援の仕組みの整備、職種ごとの職務リストによる評価の実施、給与体系の見直しを実施した。今後は、子会社の新人事制度の改定、時間・勤務地・職種を限定した社員区分、360度評価などについて検討を行っていくとしている。
改定のポイントは以下のとおり。
キャリアパス体系
- 多様な事業特性に応じた専門性をそれぞれの職種で追究できるようにするため、エキスパート職群、専門職コースを新設
- 総合職コースでは、様々な事業・職種を経験するプロフェッショナル職群を経て、ゼネラリストのマネジメント職群か、専門性を追究するエキスパート職群の選択が可能
- 入社時より目指すキャリアが明確な調理職種は、専門職コースとして、技術の向上に励むことができる
- 社員が自ら将来のキャリアを考え、申告できるよう「キャリアプランシート」や「キャリア面談」などのキャリア支援の仕組みを整備
等級制度
- 現行の職能資格制度を廃止し、行動等級と職務等級のダブルラダー型の等級制度を導入。これにより、担当する仕事の難易度や遂行度、成果を評価し、昇給や昇格に反映させる実力主義の制度を実現
評価制度
- 職種ごとの職務リストに基づく職務行動評価を軸とした、モチベーションの向上につながる分かりやすい評価制度
- 評価者区分を見直し、より現場に近いところで社員の働きぶりを見ている評価者が評価・フィードバックを行うことで、公平で納得性の高い評価へ
賃金制度
- 新しい賃金制度では、担当する職務や遂行度と、基本給が連動する仕組みに
- 若年層に対する初任給の改定など、賃金水準を引き上げることによって、次世代の人材育成を強化
- 手当制度を見直し、基本給や必要な手当へ再配分
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