チェンジウェーブは、企業で働く5万8934人のアンコンシャスバイアス(無意識の偏見、思い込み)について、測定調査の結果を発表した。
同社では、業務付与・評価の適正化を阻害するアンコンシャスバイアスを定量的に示し、企業の変革と多様性推進に資することを目的として、同社のeラーニングツール「ANGLE」導入企業社員のアンコンシャスバイアスを測定・調査している。今回は主に、性別(ジェンダー)バイアスが職場に与える影響について発表している。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 期間:2018年9月~2022年2月
- 対象:ANGLE受講者(管理職3万562人/非管理職2万8372人)
まず、性別バイアスは属性にかかわらず存在し、全体では約8割の人に「男性=仕事、女性=家庭」という性別バイアスが見られた。また、一般社員(非管理職)では、「女性=家庭」の性別バイアスが強い人が男性で32%、女性で38%となっており、女性の方が性別バイアスが強い人の割合が高いことが分かった。
※同調査では、アンコンシャスバイアス測定テスト「IAT(Implicit Association Test)」を使用
※±0.65〜が「性別バイアスが強い」とされる
次に、海外出張の打診について管理職に尋ねたところ、男性への打診は68%が「Yes」と答えたのに対し、女性に対しては45%にとどまり、23%の差が出る結果となった。また、子育て中の女性部下への打診を「迷う」とした管理職は46%となり、海外出張を「打診する=意向を確認する」段階でさえ、管理職の性別バイアスが影響することを表している。
一般社員(非管理職)に、1歳の子どもがいる同僚が海外出張を打診された場合について尋ねても、それが男性への打診であれば、43%が「違和感はない」と回答。一方で、女性に対しては38%と、対象者の属性によって回答に差が出ている。女性に対しては、「行かない方が良いと思う」と回答した人も17%いたという。
続いて、管理職の言動に関する性別バイアスについて尋ねたところ、「女性に厳しいフィードバックをするのは若干の躊躇を感じる」と回答した管理職は49%であるのに対し、「可哀想だと思う」と回答した非管理職は31%と、18ポイントの差が見られた。
加えて、「自信がないという女性には過度な負担をかけないよう配慮する」とした管理職が57%いる一方で、「配慮したほうがいい」とした非管理職は37%と、20ポイントの差がある。女性へのフィードバックや成長機会に対して、管理職と非管理職との認識に差が見られると同時に、「『女性には』配慮すべき」と感じている管理職が半数以上に上ることが分かる。
なお、同調査では「男性=リーダー」というアンコンシャスバイアスの存在も明らかになっており、男性に対する過剰な期待・負担がかかる可能性もあると、同社は述べている。
このほか、一般社員(非管理職)の回答からは、未だに性別役割分担意識が残っていることが分かった。
同社は今回の調査結果から、具体的な業務付与や登用について「属性による差」が生まれる可能性があることが明らかになったと述べている。例えば、管理職が「子育て中の女性への配慮」だと考えたことが、成長機会を失う「リスク」にもなり得る一方、「男性=仕事」「男性=リーダー」という性別バイアスが多様な働き方を阻み、男性部下の家事・育児経験や、育休取得機会を奪う可能性もあるとしている。
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