パーソルキャリアは、5月の転職求人倍率をまとめた「doda転職求人倍率」を発表した。なお、doda転職求人倍率は、中途採用市場における需給バランスを表すもので、dodaの会員登録者(転職希望者)1人に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出した数値。
5月の転職求人倍率は、前月から+0.01ポイントの1.85倍、求人数は前月比101.4%、前年同月比155.2%となった。転職希望者数は前月比101.1%、前年同月比105.5%だった。求人数は、業種別では「その他」を除く12業種のうち9業種で増加。最も増加率が大きかったのは「メディカル」(前月比102.1%)、次いで「メディア」(前月比102.0%)だった。職種別では、「その他」を除く11職種すべてで増加し、増加率が最も大きかったのは「販売・サービス(105.5%)」、次いで「専門職(化学・食品)」(前月比102.7%)となった。
5月の解説および翌月以降の見通しについては、同社は以下のように述べている。
5月の求人数は、2020年9月から21ヵ月連続で増加し、同定義で求人倍率を算出した2019年1月以降で過去最高値となった。2019年同月比では165.4%となり、コロナ前を大幅に超えている。求人増加率の大きかった「メディカル」では、昨今の医薬品の品質確保・安定供給の問題を受けて、品質保証や品質管理といった求人が増加。一方、転職希望者数は、例年5月は増加傾向にあるが、今年の増加の程度は緩やかだった。3年ぶりに行動制限のないゴールデンウィークとなり、在宅時間が減少したことが一因だと考えられる。
6月の求人数は、新型コロナウイルス感染者数の減少を受け、企業の採用活動は引き続き活発化し、増加が予想される。一方で、転職希望者数は、例年夏の賞与後の転職を検討する人も多く、増加するとみられ、求人倍率は横ばいとなる見込み。引き続きDX推進は業種を問わず企業の重要課題であり、今後もITエンジニアやITコンサルタントなどの増加が予想される。また、ウクライナ問題は収束の見通しが立っていないが、企業の採用活動への影響はほぼないと考えられる。
転職求人倍率の推移(2019年1月〜2022年5月の概況)については、同社は以下のように述べている。
求人数は、新型コロナウイルスの影響により、2020年4月から減少し同年8月が最少となったが、その後緩やかに回復し2021年7月にはコロナ前の最高値を超え、増加傾向が続いている。一方、転職希望者数も、転職活動の中止や転職活動の開始を延期した人の影響で、一時期は減少したが、2022年では増加傾向に転じている。転職求人倍率は、2020年8月以降、求人数の増加率が転職希望者数のそれを上回る状態が続き、上昇傾向にある。
業種別の転職求人倍率では、2021年10月を境に「人材サービス」が「IT・通信」を抜き、最も倍率が高い状況が続いている。背景として、アウトソーシング業界で「エンジニア(機械・電気)」「エンジニア(IT・通信)」の求人が増えていることが挙げられる。「エンジニア(機械・電気)」は、半導体不足による、半導体メーカーや関連機器メーカーでの増産を背景とした人材不足、また、自動車業界における「組み立て」「評価」といった工程でニーズが高まっている。「エンジニア(IT・通信)」は、DX推進において引き続きITエンジニアの人材が不足している状況。これらの課題に対して、各企業が自社採用だけでなくアウトソースの活用も進めていることにより、求人が増えていると考えられる。また、調査開始以降、最も転職求人倍率が高かったのは2021年12月の2.08倍。コロナ収束後を見越した採用意欲の高まりによる求人の増加に対して、転職希望者は、例年年末に向けて活動が落ち着く傾向にあり減少したため、求人倍率が上昇した。
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