採用にマーケティングの考え方を
「タレントアクイジション」と似た言葉に「リクルーティング」がありますが、両者はどう違うのか。改めて確認すると、タレントアクイジションとは、中長期的に転職潜在層から会社を前進させる優秀な人材を獲得すること。一方、リクルーティングとは、転職顕在層の応募を獲得してから選考し、決定に至るプロセスのことです。
タレントアクイジションにおいては、応募の前のプロセスが重要になります。転職潜在層に、認知して検討・興味を持ってもらうプロセスです。このプロセスを「採用マーケティング」と、海外では定義しています。
営業・マーケティング活動で例えると、商談を設定して提案し、受注に至るところが営業活動で、商談前のプロセスがマーケティング活動ですよね。マーケティング活動では、顧客に対してどのように自社の魅力を認知・プロモーションしていくか、どうやって問い合わせを獲得するかが重要になります。
今、日本でいわれる採用マーケティングは、「SNSをどう活用して転職潜在層にアプローチしていくか」が論点になることが多いと思います。しかし、SNSはマーケティングチャネルの一つでしかありません。あらゆるチャネルを使って転職潜在層にブランディングを行い、問い合わせ(応募)を獲得していくのが採用マーケティングです。
さらに採用マーケティングでは、これまで捨てていた過去に選考を受けた人とのつながりも資産にして、ナーチャリング(転職潜在層から採用候補者へと育成)していきます。採用活動を“掛け捨て型”ではなく“積み立て型”とするのです。
アメリカにおいては、2013年から「Recruiting is Marketing」といわれていて、採用マーケターという職種もあります。その背景には、人材獲得競争の激しさがあります。日本においても人材獲得競争は激化しており、採用媒体に求人を出しておけば応募が集まる時代は過ぎ去りました。そのことを自覚して、転職潜在層に向けて採用マーケティングを開始するべきでしょう。