パソナグループのキャプランは、「人的資本開示に関する実態調査」を実施し、その結果を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査対象:企業の経営者・役員・人事担当者など
- 調査期間:2022年11月11日~24日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査地域:全国
- 有効回答数:249社
すでに「人的資本の情報開示」に取り組んでいる企業は全体のわずか18.8%
「人的資本の情報開示」に取り組んでいるか聞いたところ、すでに取り組みを開始している企業は全体の18.8%、上場企業においても33.8%にとどまった。
「人的資本の情報開示」に取り組む理由は、半数以上が「人的資本経営の推進のため」、上場企業においては63.6%が「開示が義務化されるため」と回答
前問で「人的資本の情報開示」に取り組んでいる、もしくは準備中と回答した企業に対し、取り組む理由を聞いたところ、全体の55.5%が「人的資本経営の推進のため」と回答した。上場企業では63.6%が「開示の義務化」と回答し、他にも「投資家からの要望」「コーポレート・ガバナンスコードの改訂」など、外的要因も理由に挙げられた。
一方、非上場企業では「求める人材を採用していくため」(34.1%)や「人材定着を図るため」(35.4%)が、いずれも上場企業を上回る結果となり、採用や人材定着など、企業経営への直接的な効果を期待していることが分かった。
取り組み状況は「従業員データの収集や可視化」などの初期のフェーズが多数
前問に続き「人的資本の情報開示」に取り組む企業に対し、取り組みのフェーズを聞いたところ、全体の約半数が「従業員データの収集」と回答した。上場企業においては、「従業員データの可視化」(60.0%)が最多となるなど、開示に向けた取り組みにおける初期のフェーズにあることが明らかになった。
また、上場企業においては、「開示範囲の策定」(47.3%)が比較的高い水準にある一方で、上場・非上場ともに、データの収集・可視化に続くアクションとなる「可視化データの定量把握・分析」や、それに基づいて施策を立案する「人材戦略のブラッシュアップ」のフェーズに取り組む企業は、3割程度にとどまった。
課題は「可視化データの定量把握・分析」が最多、上場企業では「人材戦略のブラッシュアップ」や「シナリオ策定」も多い
同じく前問に続き「人的資本の情報開示」に取り組む企業に対し、開示に際してネックになっている点や課題を聞いたところ、全体の43.1%、上場企業の49.1%が「可視化データの定量把握・分析」と回答した。上場企業ではそれに続いて、「人材戦略のブラッシュアップ」や「シナリオ策定」に難しさを感じていることが分かった。
一方、非上場企業では、「人員不足」や「経営層との合意形成」という回答が、上場企業よりも多い結果となった。
人的資本開示に活用しているシステムは、上場企業では「人事・給与システム」や「タレントマネジメントシステム」が主流、非上場企業では「Excel」が最多
同じく「人的資本の情報開示」に取り組む企業に対し、人的資本開示に活用しているシステムを聞いたところ、上場企業においては60.0%が「人事・給与システム(ERPなど)」を、54.5%が「タレントマネジメントシステム」を挙げた。一方で、非上場企業では43.9%が「Excel」と回答し、最多となった。
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