改めて「リスキリングとは」
本稿ではリスキリングとは何かについて、次の定義を引用します。
- リスキリング(Re-Skilling)
- 市場ニーズに適合するため、保有している専門性に、新しい取り組みにも順応できるスキルを意図的に獲得し、自身の専門性を太く、変化に対応できるようにする取り組みをリスキリング=Re-Skillingという。
(出典:IBM調査: 市場原理主義に応じた新規スキルの獲得 ― 既存保有スキルの拡張(リスキリング:Re-Skilling))
そして、この定義に基づき、次の整理をもってリスキリングという言葉を扱います。
- 市場ニーズが起点となること。市場ニーズとは企業などの雇用する側のニーズである。つまり、個人が職業に抱く希望や願望が起点ではないということ。
- 雇用する側のニーズとして求める業務(ジョブ)に対応することが目的であること。その業務(ジョブ)の明確な目的がない取り組みは、本稿においてリスキリング施策の範囲外とする。
- 求める業務(ジョブ)に応えるために、保有している専門性を活かし、差分として必要となる新たなスキルを習得し、それによって変化対応できるようにする取り組みをリスキリング施策と認識する。
つまり、新規事業立ち上げなどの目的を達成するために企業が用いる手段として位置づけられることが、リスキリング施策の出発点となります。
次図は、このリスキリング施策で各関係者がとるべき行動やその前提をまとめたものです。
以降ではこの図をもとに、リスキリング施策を実行するときに人事がとるべき行動について、次の3つを考察します。
- ①人事から経営層への働きかけ
- ②人事から現場への働きかけ
- ③人事から対象者への働きかけ