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2024年2月1日(木)12:00~17:40

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人事労務管理システム<br>主要製品スペック一覧 2023

人事労務管理システム
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タレントマネジメントシステム<br>主要製品スペック一覧 2023

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採用管理システム
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特別企画《組織やチームの編成・運営》| 従業員エンゲージメント

エンゲージメント向上に取り組み組織課題を改善した3社の事例 決め手は社内の情報流通

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 人的資本経営でも開示が必要とされる従業員エンゲージメント。企業の業績や離職率との相関も明らかにされている。しかし、さまざまな理由から、この重要な従業員エンゲージメントを失い、経営上の課題を抱えてしまう企業がある。本稿では、そうした苦境に陥った中から復活した企業3社の事例を紹介する。いずれもポイントとなったのは社内の情報流通量だ。なお事例は、株式会社スタメン 執行役員COOの森川智仁氏より提供いただいた。

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事例提供

森川 智仁氏

森川 智仁(もりかわ ともひと)氏

株式会社スタメン 執行役員COO

愛知県出身。新卒で人材系企業に入社し、新拠点の立ち上げや責任者を歴任。その後、創業メンバーとしてWeb関連会社を立ち上げ、事業運営・組織運営に携わる。2018年3月にスタメンに入社。インサイドセールス、マーケティング、カスタマーサクセス、それぞれの領域で部長として責任者を務め、導入企業の拡大およびエンゲージメント経営を支援。現在はCOOとして事業統括と強固な組織づくりの推進を担う。

離職率の低減に成功

抱えていた課題

 従業員の離職率が高止まり。採用してもなかなか定着せず、人手不足が深刻なレベルで常態化しています。

【 トランコムDS株式会社(運送業)】

 人が流動的に動き、入社した3割が1年足らずで離職してしまうことも少なくないという運送業界。トランコムDSでも、離職率の高さに悩まされていた。

 背景には、心的疲労のたまりやすい運送業界の労働環境もあるようだ。慢性的な人手不足の中で、物流の小口多頻度化が進行し、労働時間も全産業平均より約2割長くなっている[1]。それなのに、全件の配送を無事に行って当たり前。褒められたり感謝されたりするわけではない。一方で、事故や遅延といったトラブルがあれば上司にすぐとがめられる。こうした減点方式の評価に、ドライバーはメンタルをすり減らす。

[1]: 経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」2022年9月2日

 ドライバーだって事故を起こしたくないし、遅延もなくしたい。それでもトラブルは起きてしまう。理由は分かっているし、言い分もある。それなのに毎回とがめられ減点されては、モチベーションは下がるばかりだ。上司の側としても注意喚起や指導をせざるを得ないとはいえ、離職者が増えるのも必然。慢性的な人手不足は加速し、悪循環に陥っていく。

 実は、ドライバーは配送先で喜ばれたり感謝の言葉をかけられたりすることもあるそうだ。しかし、そのことを表立って言う場面がないため、上司としてもドライバーを褒めたり日々の仕事を評価したりするきっかけがない。減点ばかりで加点がなくなってしまう一因にもなっていた。

2つの改善策:状況と声の見える化

 このような状況を改善するにはどうすればよいか。トランコムDSでは次の2つを実践した。

  1. これまで経営層だけが見ていたエンゲージメントサーベイの結果を、中間管理職にも開示。全社の組織課題と自身の管掌部門の組織状態を数値で理解してもらう
  2. 社内情報共有ツール(TUNAG)を使って、経営層からのメッセージを従業員一人ひとりに直接届けたり、顧客の声を社内で共有したりできる仕組みを整備。従業員のエンゲージメントを高める基盤とする

 (1)は、経営層が実施したいと思っていたマネジメントスタイルの変革に、現場の管理職を巻き込むことを意味する。現場のマネジメントに課題があるのだから巻き込むのは当然だが、これまでは問題の把握を経営層だけで行っていた。それを改め、数値で上がってきた組織の状況を現場の管理職にも開示し、数値を意識して改善のPDCAに取り組んでもらうことにした。

 この施策に対し、「(エンゲージメントサーベイの結果は)良くも悪くも中間管理職の通知表だ」という声も上がったようだ。ただし、仮にサーベイの結果が芳しくなくても叱責したりしない。他のうまくいっている部署の管理職の取り組みを共有してもらい、改善につなげていく。管理職同士でナレッジを交換するわけだ。サーベイの結果の開示により交換はしやすくなったという。また、通知表という発言からは、管理職の間でマネジメントスタイル変革に対する当事者意識が広まったことも見て取れる。

 (2)は、経営層からのメッセージを所長、センター長、リーダーへと伝言ゲームで伝えるのではなく、現場の従業員がダイレクトに受け取れるようにしたもの。(1)のように現場を巻き込んでマネジメントスタイル変革に取り組むうえでは、全社的にメッセージを伝えられる仕組みは欠かせない。これにより、同じ課題意識の下で変革に取り組むことが可能になるからだ。

 また、上からの一方通行ではなく、ドライバーが顧客からもらった感謝の声を発信・共有できるようにもなった。上司はそうした声があることに気づき、褒めたり評価を高めたりできるほか、「この声をもらったのはこのメンバーです」と全社に紹介できる。他の部署、配送センターからも称賛が生まれているという。これまで社内にあふれていたのは、荷物が多くて仕事が長い・つらいといったネガティブな話ばかりだったが、今ではポジティブな話に変わってきたそうだ。

 こうした取り組みの成果として、課題だった離職率は低下。37.3%から23.5%に改善した。それだけでなく、顧客からの評価も高まったという。従業員エンゲージメントへの取り組みが顧客満足度の向上にも寄与したわけだ。同社の経営に与えたプラスのインパクトはけっして小さくない。

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この記事の著者

市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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