全く予想外だった、開講から1年で人気講座ランキング2位
――まったくプログラム経験がない人だと「変数って何ですか?」というところから始まります。実際のところ、Python入門1などは、どれくらいのレベルなら抵抗なく入っていけるのでしょう。
堀:あくまで初心者から受けられるという位置付けですので、まったく初見の人でもフォローできるように、受講生それぞれの様子を見ながら柔軟に対応するようにしています。
受講者の割合は、まったくの初心者と「一応プログラミングの経験がある」という方が半々くらいです。インフラ経験者は8割くらいですね。これまで、インフラエンジニアにとってプログラミングコースの受講というのは、入門であってもかなり敷居の高いものでした。しかし、Pythonはやさしい言語で、基本文法だけ覚えればスクリプトが書けるようになります。Python入門1はその一点に絞っていて、基本文法以外の難しいことは一切教えていません。プログラミングを始めて学ぶ方でも十分ついていけます。そもそも、そうした敷居の低さがPythonの魅力です。
ただし、自分でオブジェクトを作成する、クラスを記述するところ(オブジェクト指向プログラミング)まで学びたいなら、やはりPython入門2まで受講することをお勧めしています。
――開講から約1年ですが、どれくらいの方が受けているのでしょうか?
藤江:かなり希望者が多いので、現在は月1~2回開講しています。1回あたり最大で20名くらいのクラスですが、すでに延べで約500名、50社が受講されました。実は、当社の人気コースランキングで第2位なんです。今でも人気コースといえば、サーバーやネットワークといったインフラ系の講座なのですが、その中でPythonのコースがこんなに上位に食い込むとは、まったく予想外でしたね。昔はプログラミング言語といえば自分でコツコツ勉強するものでしたが、この人気ぶりを見て、こういう講座で学習できるのを待っていた方が大勢いたんだと。
Pythonはコミュニケーションツールとしても有効
――ここまで受講希望者が増えてきた、一番の理由はなんでしょうか?
堀:最近、インフラエンジニアがツールを自作する必要に迫られています。もちろん、シェルスクリプトでも作れます。しかし、もっと簡単に書けて、OSに依存しないもののほうがいい。そうなればRubyやPythonを選ぶことになるし、さらに簡単さという点ではPythonに一日の長があります。
藤江:「DevOps」や「Infrastructure as Code」といった技術トレンドの影響もありますね。ある大手企業のお客様では、インフラやアプリケーションはもちろん、ツールまで内製化して工数を削減する試みをされています。また、DevOpsは、開発者とそれ以外のメンバーとの間にある大きな溝を埋めることを目的としますが、その考えが広がる中で、開発者の考え方を理解しようというインフラ担当者やデザイナーが、入口としてPythonに注目したのかもしれません。
――Pythonは開発者とのコミュニケーションツールとしても有効というわけですね。
藤江:ええ、とても有効だと思いますよ。たとえば、開発者に自分の考えなどを伝えるとき、あいまいな言葉やイメージではなく実際のコードで示せると、プロジェクトの効率や品質の向上に役立ちます。また、開発者から見ても、実際に動くコードを介して会話できる相手なら、「この人は話が早そうだ」という信頼感につながるでしょう。
また、プログラミングは物事を理論立てて考えたり、論理的な思考パターンを身に付けたりするのにも役立ちます。エンジニア以外の若手のスキルアップにも有効ではないでしょうか。
――現在のPythonの人気は、データ分析の分野での盛り上がりが大きいと思いますが、それについてはどう見ていますか?
堀:弊社のPython入門ではそこまでカバーしていませんが、そういうツールを使ってみたいという要望は出てきています。将来的には、そうした講座を拡充していきたいと考えています。