Pythonエンジニア認定資格が注目を集めているわけ
――この春から、いよいよ「Pythonエンジニア認定試験」が始まります。Python入門の受講者にも、この資格に関心のある方がいらっしゃいますか?
堀:Pythonエンジニア認定試験はまだベータ試験が終わった段階なので、関心を寄せている方がどれほどいらっしゃるのかは分かりません。しかし、私がベータ試験を受けたときには、試験の実施が公表されてすぐ、定員まで埋まってしまいました。資格に対する関心はかなり大きいだろうと感じています。
藤江:今まで潜在的にそうした認定資格を望んでいた方たちが、この認定試験を受けられると聞いて一斉に駆けつけたのかなとも思いますね。
――やはり、認定資格を取得するメリットは大きいのでしょうか?
藤江:当然ですが、資格を取れば、Pythonの一定の知識を受講・習得した証となる「バッジ」を付けられます。このメリットは大きいですね。
堀:「周囲からスキルを認めてもらえる」資格だというのが知れ渡れば、やはり受講者にも勢いがついてきます。Rubyの資格が出たときがまさにそうでした。
藤江:とりわけPythonには、今までそういう認定資格がまったく存在しなかったので、自分の能力を示す目安として周りから評価されるなら取っておきたいと思うのは、むしろ自然な流れだと思います。それと、プログラミングのプロフェッショナルの資格と考えれば、仕事を発注する側からも、相手が認定資格を持っていれば頼みやすい。資格は発注者から自分の能力を正当に評価してもらうための、とても良いものさしになります。
バランスが良く出題も素直な試験でした
――ベータ試験を受験した感想などを、お聞かせいただけますか。
堀:Python入門のカリキュラムを作成している以上、資格取得を目指す方の気持ちも理解したいと考えて、2016年11月に受験してみました。試験勉強にかけた期間は、Python入門の立ち上げと同時なので、ほぼ1年くらいですね。試験範囲に指定されているPythonの文法などを確認し、それ以外に試験対策らしいことはしませんでしたが、何とか合格できました。
実際に受けてみて、プログラミングの試験としては、かなりバランスが良いと感じました。Pythonの文法を一通り知っていれば、確実に答えられます。重箱の隅を突っつくような細かい知識までを尋ねる問題はありませんでした。Rubyの資格試験ではかなり細かいところまで問われるので、その点では出題傾向はだいぶ異なっています。
出題は「設問にあるコードを読み取って、その実行結果はどうなるか」といったパターンです。つまり、コードが読めれば解けますね。Pythonに標準で提供されている関数の動作を尋ねる問題もありましたが、そんなに多くありません。
――バランスの良いテストだと感じた理由は?
堀:基本データ型である「文字列」と「数値」をベースに、複合データ型の「リスト」と「ディクショナリ」まで網羅していますし、制御構文の「条件分岐」と「反復」についても文法上の重要な点を押さえていたからです。プログラムを書く上で欠かせない事柄をちゃんと出していて、好感が持てました。また、いわゆる“引っかけ問題”などはなく、出題は素直です。受験者はよけいな深掘りをせず、主要なポイントをまんべんなく勉強しておけばよいでしょう。
藤江:Python入門1の内容を理解した方なら、あとは市販の参考書を使って勉強すれば合格できると思います。試験対策だけなら、Python入門2までの知識は不要ですね。
――お勧めの参考書はありますか?
堀:これまでも何冊か出ていますが、最近刊行されたこともあり、これなら間違いないというのは『Pythonチュートリアル 第3版』(オライリー・ジャパン刊)ですね。ボリュームはあまり多くないし、内容も試験の出題範囲に合っています。これをしっかり勉強しておけば、試験対策としては十分です。