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「管理職になりたくない」一般社員は7割以上、「向いていない」「報酬が釣り合わない」の声—JMAM

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 日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM(ジェイマム))は、「管理職の実態に関するアンケート調査」を実施した。

 調査の概要は次のとおり。

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:企業規模300名以上の管理職(課長・部長・本部長層)/一般社員
  • 有効回答:管理職 1072名/一般社員1116名
  • 調査時期:2023年4月

 調査の結果とそこから見える実情について、JMAMは以下のように伝えている。

約6割の管理職が「今の仕事が面白く、管理職を続けたい」と感じている

 「今の仕事が面白い/面白くない」「管理職を続けたい/続けたくない」という設問の回答に応じ、回答者を4象限に分類した。管理職全体の56.4%は、「今の仕事が面白い」「管理職を続けたい」と感じている「ポジティブ管理職」であることが分かる。

ポジティブ管理職・ネガティブ管理職の割合
ポジティブ管理職・ネガティブ管理職の割合

 「意識しているマネジメント行動」を聞いたところ、ポジティブ管理職の最多回答は「顧客・メンバー・関係部門・協力者などから信頼を得られるように、相手を尊重し誠実に行動している」であった。ネガティブ管理職の最多回答も共通していた。

 一方で、ギャップが大きかった項目は「抵抗や障害を乗り越えて、機会を逸することなく、変革や革新を実行している」(ポジティブ管理職87.9%、ネガティブ管理職46.0%)で、差は41.9%となった。続く「日頃から上位者に進んで協力し、必要な時に味方になってくれる関係性を築いている」(ポジティブ管理職91.4%、ネガティブ管理職51.5%)は39.9%の差があった。

 また、「コロナ禍で変えたマネジメント行動」について聞いたところ、ポジティブ管理職が最も重視した点として挙げた「問題意識を持って、情報収集を行い、変化の兆しや組織の進むべき方向を的確に捉えている」は、ネガティブ管理職とのギャップが最も大きい項目であった。ポジティブ管理職は「人の信頼を獲得し、協力してもらえる関係づくり」「組織の進むべき方向を捉え、そのための革新を考える」を意識していると推測される。

意識しているマネジメント行動
意識しているマネジメント行動
コロナ禍で変えたマネジメント行動
コロナ禍で変えたマネジメント行動

部下(一般社員)の7割以上が「管理職になりたくない」

 部下(一般社員)の「今の仕事が面白い/面白くない」「管理職になりたい/なりたくない」を軸に4象限に分類した。77.3%の部下が「管理職になりたくない」と回答した。2018年に同社が行った調査「JMAM管理職実態調査2018」(n=566)で同様の分類を行ったところ、「管理職になりたくない」と回答した部下は72.8%だったことから、多くの一般社員に「管理職になりたくない」という傾向があると予想される。

ポジティブ部下・ネガティブ部下の割合
ポジティブ部下・ネガティブ部下の割合

 現在管理職の人を、「管理職を続けたい/続けたくない」「管理職になりたかった/なりたくなかった」で分類した。もともと管理職になりたくないと感じていたネガティブな状態から、管理職を続けたいとポジティブな状態に変化した管理職は16.7%であった。ネガティブな状態だとしても、ポジティブ管理職に変わる可能性があることが分かる。

管理職になる前となった後の意識の変化
管理職になる前となった後の意識の変化

 また、管理職になりたかった理由について、最も回答が多かったのは「報酬アップのため」であった。ポジティブ管理職がネガティブ管理職と比較して大きく上回っていたのは「自分の能力アップや成長のため」、ネガティブ管理職が上回っていたのは「会社や周囲から評価されたと思えるから」だった。

 ポジティブ管理職は能動的なモチベーションで管理職を志向していたのに対して、ネガティブ管理職は周囲からの見え方などを考えており、モチベーションに違いがあると推測される。

管理職になりたいと思っていた理由
管理職になりたいと思っていた理由

 さらに、管理職になりたくなかった理由で、全体で最も多い項目は「自分は管理職に向いていないから」で、ネガティブ管理職の41.0%、ポジティブ管理職の25.6%が回答した。また、同様の質問を部下(一般社員)にも「管理職になりたくない理由」として聞いたところ、ネガティブ部下の53.0%が「管理職に向いていないから」と回答した。管理職という仕事に前向きに取り組んでもらうためには、プレ管理職への動機付けや、自信を与える支援を行うことが必要であるといえる。

管理職になりたくなかった理由
管理職になりたくなかった理由

実際の管理職の印象「チームマネジメントが面白い」に大きな差

 管理職に対し、実際に管理職になってみて、管理職という仕事にどのような印象を抱いたかを聞いた。ポジティブ管理職は「自分の成長につながった」(95.4%)が最多、ネガティブ管理職は「調整が多くて面倒」(71.3%)が最多となった。ポジティブ管理職とネガティブ管理職の回答差が最も大きい項目は「チームマネジメントが面白い」(ポジティブ管理職86.8%、ネガティブ管理職20.8%)で、差は66.0%であった。

 一方、両者の差が少なかったのは「プレーヤーとしての仕事の方が面白い」「調整が多くて面倒」「負荷に対し報酬が釣り合っていない」であった。

 管理職になって感じるネガティブな側面は両者に共通しているが、管理職になったことで気づけた新たな魅力が上回ればポジティブな姿勢になり、負担の大きさにとらわれるとネガティブになっていくと考えられる。

管理職になってみたことで感じた「管理職」という仕事への印象
管理職になってみたことで感じた「管理職」という仕事への印象

昇進前のマネジメント経験が重要

 「管理職になる前に自分を一番成長させた経験」と「管理職に受けたかった支援や教育の内容」について定性コメントで回答を募った。成長経験として最も多い回答は「プロジェクトへの参画」であった。とくに、新規事業や部署外・社外との連携が必要とされるプロジェクトのリーダーとなって成功した経験が成長につながったと感じているようだ。

 また、管理職になる前に受けたかった支援や教育の内容について、全体で最も多い回答は「マネジメント」であり、具体的にはチームやプロジェクトの運営、部下育成、タイムマネジメントなどが挙げられていた。

 このことから、管理職になってからもポジティブに働いてもらうための支援として、プロジェクトリーダーとして管理職に近い立場を任せるなど、疑似的な管理職経験を積んでもらうことが有効だと考えられる。

管理職になる前の経験や支援
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労務管理から戦略人事、日常業務からキャリアパス、HRテクノロジーまで、人事部や人事に関わる皆様に役立つ記事(ノウハウ、事例など)やニュースを提供しています。

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