SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

直近開催のイベントはこちら!

HRzine×SmartHR 人材・組織活性化フォーラム

2024年12月6日(金)13:00~15:30

主要製品スペック一覧

人事業務の効率・確度・精度を高めるために欠かせないHRテクノロジー。その主な製品の機能を分野ごとに比較できる資料群です。製品検討の参考資料としてご活用ください。

eラーニング・LMS<br>主要製品スペック一覧 2024

eラーニング・LMS
主要製品スペック一覧 2024

その他のスペック一覧

人事労務管理システム<br>主要製品スペック一覧 2023

人事労務管理システム
主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム<br>主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム
主要製品スペック一覧 2023

エンゲージメント向上への処方箋 | 第2回

ある禁句でオンボーディングに失敗! 溶け込もうとしない若手社員と困惑する周囲に人事はどう関与する?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

 本連載では、筆者の前連載「経営人事とエンゲージメント再考」の内容を踏まえながら、エンゲージメントにまつわる諸問題に対して、人事がどのような力を発揮できるのかを具体的に示していく。第2回のテーマは、職場における「若手社員のオンボーディング」である。若手社員が職場になじめないとき、人事はいったいどのように関与したらよいのだろうか。

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

荒金泰史氏の前連載「経営人事とエンゲージメント再考」も公開中。

職場に溶け込もうとしない若手社員はなぜ生まれるのか?

 最初に、ある事例を紹介する。

 ある職場のX課長が人事に悩みを相談してきた。聞けば、入社して数ヵ月の新入社員Cさんが、職場に溶け込もうとしないのだという。X課長や周囲の先輩たちが気を使って優しく働きかけても、本人が壁をつくってしまう。たとえば、あるとき懇親会を開こうとしたが、「私はそういうのはよいので欠席します」と断られたそうだ。Cさんは日常的に直行直帰を好み、定時になると早々に帰ってしまう。周囲は任せたい仕事があるのだが、それを受けようともしない。そのため、仕事の基礎が身に付いておらず、どんどん仕事を任せにくくなる悪循環に陥っているという。X課長は「正直なところ、職場は困り果てていてね。言いたくないけど、採用ミスなんじゃない?」とまで言っていた。

 一方の人事から見ると、Cさんは採用面接でも新入社員研修でも好印象で、特段変な様子も見られなかったという。そのため、Cさんがなぜそんなことになってしまったのか、X課長に話を聞いた時点では皆目見当がつかなかった。

 このように「若手社員のオンボーディング」がうまくいっていないとき、人事にはいったい何ができるのだろうか。どのように職場に関与したらよいのだろうか。それを考えるためには、状況をもう少し詳しく知る必要がある。

「社会人として最低限のことをやらないとダメ」はほぼ禁句

 人事は、X課長や周囲の先輩たちにさらに詳しく話を聞いた。その結果、次のようなことが分かった。

 実はCさんは、今の職場に配属された直後はそれなりに張りきっていたのだという。「将来はこんな仕事をやってみたい」「こんなプロジェクトを任されてみたい」といった夢を語っており、周囲ともコミュニケーションを取っていた。

 ところが、配属から2ヵ月後に転機が訪れた。この頃、CさんはOJTの一環として、職場の先輩とともにあるプロジェクトのメンバーになった。このプロジェクトは社内であまり目立つものではなかったが、部署の基幹業務の改定にかかわる重要な仕事だった。Cさんは先輩の補佐役として、タスクを取りまとめて関係者に連絡を入れたり、スケジュール調整を行ったりする仕事を任された。

 しかしCさんは、アサイン当初からこの仕事に積極的になれない様子だった。地味な仕事であることは確かで、本人がやりたいことではなかったのだろう。注意散漫で同じミスを何度も繰り返し、それに対するリカバリーや謝罪もおざなりになっていた。ついにある日、プロジェクトで協働する営業部からクレームが入った。そこで先輩がCさんに「仕事なんだから、ちゃんとやろう」「社会人として最低限のことをやらない限り、自分のやりたいことなんてできないよ」「自分が何をしたいかなんて二の次だ」などと指摘するようになった。そこから徐々に、Cさんが距離を置くようになったのだという。

 さて皆さんは、このエピソードで、先輩に1つ大きな問題行動があることが分かるだろうか。実は、「社会人として最低限のことをやらないとダメ」という発言は、現代の若手に対しては要注意センテンスなのである。Cさんに限ったことではなく、この類のセンテンスに拒否反応を示す若手社員は多い。ほとんど禁句といってもよいくらいの言葉なのだ。

 しかし、マネージャークラスはむしろ本当に「社会人として最低限のことをやらないとダメ」だと考える人が多いため、ついつい言ってしまって、若手社員との関係がこじれるケースがよく見られる。

 実は、Cさんは「夢や目標に向かって、皆で一体感を持って取り組みたい」といった志向を持つ若手社員で、「個性を尊重し合う」「対等な関係性」を好む「創造重視タイプ」だった(図表1)。リクルートマネジメントソリューションズの調査によれば、このタイプの分布率は世の中の4分の1ほどを占めており、どの職場でも少なくないはずだ。

図表1:パーソナリティを捉える4つの性格タイプ
図表1:パーソナリティを捉える4つの性格タイプ

 Cさんは、X課長や先輩たちが、社会人として最低限のことをやらないと自分を認めてくれないと知ったとき、ここは「個性を尊重しない職場」「対等な関係性でない職場」だと認識したのだ。それで、職場や上司・先輩に対する警戒心が一気に高まったのである。

 さらに、Cさんが「1人で悩みを抱え込んでしまった」ことで、警戒心やネガティブな気持ちに拍車がかかってしまったようだ。こうしたときに1人で悩みを抱えこむと、上司や先輩に対する思い込みや決めつけがいっそう進み、周りを避けるようになってしまうのである。

※印刷用ページ表示機能はメンバーのみが利用可能です(登録無料)。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
エンゲージメント向上への処方箋連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

荒金 泰史(アラガネ ヤスシ)

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ HRアセスメントソリューション 統括部 マネジャー。入社以来一貫してアセスメント領域に従事し、顧客の人事課題に対し、データ/ソフトの両面からソリューション提供・実証研究を実施。入社者の早期離職、メンタルヘルス予防、エンゲージメント向上、組織開発の領域に詳しい。現場マネジャーの対話力を向上させるHR Technologyサービス「INSIDES」の開発責任者を務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
HRzine
https://hrzine.jp/article/detail/5075 2023/08/23 08:00

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

2024年12月6日(金)13:00~15:30

イベントカレンダーを見る

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング