年齢に伴う役割意識を払拭し、ミドルシニアにキャリア自律を促す
——貴社におけるミドルシニア社員の比率は、全従業員のうちどれくらいを占めるのですか。
2024年10月1日現在で37.9%です。これは出向者を含めて、当社に在籍する社員に関する数字です。
——結構多いですね。御社におけるミドルシニアについて抱えている課題とは何でしたか。
本来は意欲や能力があるにもかかわらず、年齢に伴う役割意識のためにそれらを発揮できなくなってしまうことです。きっかけとなったのが、2022年に上司層を対象としてミドルシニアの活躍ぶり、働き方を聞いたアンケートでした。その結果を見たところ、注目すべきキーワードとして「遠慮」がリストアップされたんです。実はこれは、ミドルシニアならではの傾向といえるかもしれません。
現在、当社では56歳が役職定年となっています。それぐらいの年代になると第一線を退き、後輩に道を譲らなければいけないという意識が前面に出てしまい、「意見を発信しない」「行動を控える」などの傾向が目立ってきます。それが周囲からすると、「意欲がない」と見えてしまいます。そこを改善していくことが、いまの課題です。
——御社は社員のキャリア自律を促すために、2022年から「プロティアン・キャリア」の考え方やプログラムを導入され、760名以上のミドルシニアがそのオンライン研修を受講されました。ミドルシニアを巡る課題に対して、どのような効果・成果を見込んでいましたか。
人生100年時代に象徴される環境変化に対応し、当社が掲げる2030ビジョンを実現するためには、当然ながらミドルシニアの社員にもキャリア自律が求められます。プロティアン・キャリア研修は、それを周知するきっかけとなりました。プロティアン・キャリアのキャリア観はすでに浸透していたので、割とすんなり入っていけた印象があります。
なお、プロティアン・キャリアは全社員を対象として導入しています。ミドルシニアにおける課題解決を目的としたものではなく、彼ら彼女らだけを対象にしたわけではありません。