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日本企業はスキルベース組織を導入すべきか?「日本型スキルベース」のススメ | 第1回

「日本型スキルベース」へ移行せよ —まず行うべきこと&日本人特有の「恥ずかしさ」とどう向き合うか

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 スキルベース組織とは、スキルを中心とした人事マネジメント手法の1つであり、欧米のリーディングカンパニーが導入を始めたことで注目されている。本連載では、経済産業省の「スキルベース検討会」の委員であった筆者が、このスキルベース組織の基本的な考え方を解説しながら、日本企業がこの手法を導入すべきか考えていきたい。第1回では、スキルベース組織の概観を述べながら、最初に行うべき目的の明確化やスキルの収集・蓄積と可視化について論じる。最後に、スキルの可視化に関して「日本人ならではの『恥ずかしい』という感情をどう扱うか」といった「日本ならではの論点」も考察する。

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スキルベース組織とは何か?

 2025年5月、経済産業省から「Society5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会-スキルベースの人材育成を目指して」(スキルベース検討会)の報告書[1]が公表された。筆者はその検討会の委員8名の1人であり、ワーキンググループでは主査を務めた。そこではさまざまなことが論議されたが、本連載はその論議をすべて踏まえたうえで、筆者独自の意見を加えるものである。

 スキルベース組織(Skilled Based Organization)とは、スキルを中心とした人事マネジメントの手法の1つである。欧米のリーディングカンパニーでは、ジョブ型組織からスキルベース組織への移行が始まっており、シンガポールなどでは国家をあげてスキルの管理・活用に取り組んでいる。

 これにはいくつかの要因がある。最も大きな要因は、コロナ不況からの急速な景気回復による空前の人手不足である。特にデジタル・IT分野でそれは深刻な問題となった。それゆえ、従来の学歴重視の採用から転換を図り、大きく門戸を広げる際の道標として、スキル重視の姿勢が強くなったことが大きい。また、企業の人材ポートフォリオの変化により、社内のスキルを棚卸しして可視化する必要性が出てきたこと、AIを活用したスキルテック(Skills Tech)の進展によりそれが実現可能となったことなどが、スキルベース組織の導入が進む要因となっている。

 日本でも、デジタル人材の確保・育成やAIの積極活用といった背景から、今後スキルベース組織への関心が高まると予想される。現在の日本企業では、スキルを持った人材を適切に活用できておらず、従業員から見ても「せっかくスキルを習得しても、それを発揮する場がない」という状況が生まれており、個人の学習意欲を削いでいる。また、スキル管理の曖昧さが、日本でリスキリングが進展しない理由の1つにもなっている。

 では、日本でも急いでスキルベース組織を本格的に導入すべきだろうか? 筆者の答えは否である。日本企業では、長年にわたるメンバーシップ型雇用や総合職採用によるゼネラリスト育成により、欧米企業に比してスキルに関する情報や制度が整っておらず、ジョブ型から移行する欧米企業に比して実現の難易度が高い。また、個人もスキルに対する意識が弱く、急速に転換を図ると失敗する恐れがある。一方、スキルベース組織の導入を完全に見送るべきかと問われれば、それも否である。スキルベースの考え方は、凝り固まった日本企業の人事制度・人事運用を揺する契機になるのではと考えられる。

 結論として筆者は、「スキルベース組織は日本企業の組織文化に合うようにカスタマイズして、『日本型スキルベース』として活用する」という提案を行いたい。

 どこからか「またガラパゴス化(日本独自化)を助長するのか」という声が聞こえてきそうだが、まさにそのとおりである。スキルベース組織は企業人事の変革そのものだ。人事はその国の文化に大きく根ざしており、日本企業の組織文化や日本人の職業観に適合した形でそれを導入するのが適切である。ガラパゴス化といわれればそのとおりであるが、筆者としては至極当然の結論と考えている。本連載では、それを「日本型スキルベース」と呼ぶ。

 それでは、「日本型スキルベース」について6回にわたり論じていこう。

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この記事の著者

角田 仁(ツノダ ヒトシ)

1989年に東京海上火災保険に入社。主にIT部門においてIT戦略の企画業務を担当する。2015年からは東京海上のIT企画部参与(部長)および東京海上日動システムズ執行役員。2019年、博士号取得を機に30年間務めた東京海上を退職して大学教員へ転じ、名古屋経済大学教授や千葉工業大学教授を歴任した。現在...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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