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「スポットワーク」の労務管理とは? 人事が知っておくべき5つのポイント

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 人手不足が続く中、シフトの穴埋めや急な要因確保のために「スポットワーク」を利用する企業が増えています。本記事では、スポットワークの労務管理に関する注意点をまとめた厚生労働省のリーフレットをガイドします。

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必ずチェック! ポイント

  • スポットワークとは、短時間・単発の就労を目的とした労働契約に基づく働き方で、専用アプリを通じて事業主とマッチングする点が特徴。
  • 労働契約はアプリ上のマッチング時点で成立するとされ、労働条件の明示やキャンセル時の扱いなど、法令に基づく対応が求められる。
  • スポットワーカーにも休業手当の支払い義務や労災保険の適用、ハラスメント防止措置などが必要とされ、企業には適切な労務管理が求められる。

関連サイト・資料

3分でチェック! スポットワーク

 「スポットワーク」とは、短時間・単発の就労を目的とし、労働契約を結ぶ働き方です。「自分の都合で働きたい」という労働者と「必要な時期だけ人員を補填したい」という企業のニーズから生まれました。

 スポットワークに類似した働き方として、「ギグワーク」や「単発バイト」といった言葉を耳にする機会が増えています。いずれも短期間で完結する働き方を指しますが、意味や使われ方には若干の違いがあります。

  • ギグワーク:インターネットを通じて、短期・単発の仕事を請け負い、個人で働く就業形態を指す。労働契約ではなく、業務委託契約(フリーランス)の働き方となる点が大きな特徴。
  • 単発バイト:1日~数日間など、単期間限定で働くアルバイトを指す。求人媒体等を通じて応募し、労働者と事業主が直接労働契約を結ぶ働き方となる。
  • スポットワーク:数時間~1日単位など、短時間・単発で働くスタイルを指す。一般的には労働契約に基づく働き方を意味することが多いものの、業務委託契約を含む場合もある。また、「ギグワーク」や「単発バイト」などを含む広義の概念として使われることもある[1]

[1]: 本記事内では厚生労働省のリーフレットに従い、「スポットワーク」について、雇用仲介を行う事業者が提供する「雇用仲介アプリ」を通じて、労働者と事業主のマッチングや賃金の立替払を行う働き方を対象として解説する。

 当コラムでは、スポットワークで働く人々の労務管理の注意点についてまとめた厚生労働省のリーフレットをガイドします。

スポットワークの定義

 厚生労働省のリーフレットで登場する「スポットワーク」とは、短時間・単発の就労を内容とする労働契約の下で働くことを指します。当記事で言及するスポットワークは、雇用仲介アプリを利用して労働者と事業主をマッチングし、雇用仲介を行う事業者が賃金の立替払いを行うものが対象となります。

 一方、スポットワークを広義でとらえると、労働者が事業主に直接応募をして短時間だけ働くケースや、登録型派遣を利用して単発の就労を行うケースなど、その種類は多様化しています。

スポットワークの概要:メリットと注意点

 スポットワークは、スマートフォンの専用アプリやWebサービスを通じて、求職者と事業主がマッチングする仕組みです。こうしたマッチングサービスを提供するスポットワーク仲介事業者は近年増加傾向にあり、登録ユーザー数も年々拡大しています。

 スポットワークは仕事が決まるまでのハードルが低く、シフトの融通がきくメリットがある一方で、労務管理の煩雑さや労働条件の認識違いによる労使トラブル、さらに社会問題となっている闇バイトへの悪用など、注意すべき点も多くあります。

 スポットワークの活用の幅が広がることで、利便性を活かしながらも、企業としては適切な労務管理を行うための知識と方法を理解することが重要でしょう。

スポットワーカーとは

 雇用仲介アプリを通して、短時間・単発で労働を行う人のことです。

雇用仲介アプリとは

 雇用仲介アプリとは、スポットワーカーを募集する事業主と、短時間・単発で働くことを希望する労働者のマッチングを促すサービスです。

(画像引用元:厚生労働省「『知らない』では済まされない 『スポットワーク』の労務管理」)
(画像引用元:厚生労働省「『知らない』では済まされない 『スポットワーク』の労務管理」)

スポットワークの労務管理:5つのポイント

 スポットワークの労務管理におけるポイントを解説します。

1労働契約締結時

 スポットワークは、仲介事業者が提供する専用アプリなどを介して労働者と事業主がマッチングしますが、実際に労働契約を締結するのはスポットワーカーと事業主です。労働契約を結ぶということは、たとえ勤務日数が少なくても、正社員などと同様に、労働基準法をはじめとする労働関係法令を遵守する義務が発生することを意味します。

労働契約の成立時期

 労働契約法第6条によると、労働契約は、労働者が事業主に使用されて労働し、その対価として賃金が支払われることについて、労使双方が合意することで成立します。スポットワークにおいては、労働契約の成立時期が重要なポイントとなります。なぜなら、労働契約が成立された時点から労働関係法令が適用されるためです。

 スポットワークでは、通常の採用活動のように応募書類の選考や面接を実施しません。そのため、労使間で別段の合意がない限り、専用アプリ等でマッチングが成立したタイミングで、労使双方の合意があり、労働契約が成立したものとみなされる可能性が高い点に注意が必要です。

 このように、「合意があった=労働契約が成立した」とみなされることで、マッチング後の一方的なキャンセル(解約)についても、労働契約上の問題として扱われる可能性がある点を踏まえておくべきでしょう。

労働条件の明示

 労働契約が成立すると、事業主は内定者へ就業開始前に労働条件の明示を行わなければなりません。通常の採用手法であれば、求人サイトで応募を集め、選考を行い、内定提示をするタイミングで労働条件の明示を行うことが一般的です。

 しかし、先に説明したとおり、スポットワークでは、専用アプリ上でマッチングすることで労働契約の成立とみなされるため、採用する旨を求職者に直接伝えていなくとも、労働条件の明示が必要になります。

 労働条件通知書の交付は事業主の義務です。スポットワーク仲介事業者が事業主に代わって労働条件通知書を交付するケースもありますが、その内容の確認および責任は事業主にあることを理解しておく必要があります。

労働契約成立後の解約(スポットワークのキャンセル)

 労働契約法第3条では、労働契約とは「労働者と事業主が対等の立場における合意に基づいて締結・変更すべきもの」と定められています。したがって、事業主の都合によって直前に仕事を一方的に解約することは、労働者保護の観点から不適切と考えられます。

 専用アプリ等を通じて労働日や労働時間を確定した後に、その内容を変更したい場合は、労使双方で合意を得たうえで行いましょう。また、事業主側が解約を行う場合には、スポットワーカーが他の就労機会を確保できるよう、十分な時間的余裕をもって通知するなど、配慮ある対応が求められます。

2休業させる場合(休業手当の支払い義務)

 労働契約が成立した後に、事業主都合でスポットワーカーを丸1日休業させたり、仕事を早上がりさせたりする場合は、労働基準法第26条における「使用者の責に帰すべき事由による休業」となります。

 この場合、スポットワーカーに対しても休業手当の支払い義務が発生することに注意しましょう。なお、休業手当の代わりに、その日に約束した賃金を全額支払うことでも差し支えありません。

3賃金・労働時間

 正社員等と同様に、スポットワーカーに対しても、賃金や交通費などを所定の期日までに支払うことが必要です。スポットワーカーであることを理由に支払いを遅延したり、一方的に減額したりすることは許されません。労働契約を締結している以上、賃金の支払遅延や未払い、交通費の支払漏れなどは、労働基準法違反となります。

業務に必要な準備行為等(着替え、掃除)

 労働時間の考え方も、正社員等と同様です。指定の制服への着替えや勤務終了後の掃除など、事業主の指揮命令下にある時間はすべて労働時間にあたります。スポットワークの募集を行う際に、着替えなどの準備時間を計算したうえで、始業・終業時刻を設定することが大切です。

 また、事業主の指示によってスポットワーカーを待機させた時間も労働時間となります。労働時間の基本的な考え方は、次の記事で合わせてご確認ください。

関連記事労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインとは? および義務化の内容

4通勤途中や仕事中のけが(労働災害防止策の義務)

 スポットワーカーは、雇用保険や社会保険は原則として対象外ですが、雇用されて勤務している以上、労働者災害補償保険については、事業主の保険料負担の下、対象となります。万が一、勤務中や通勤中に怪我をした場合は、労災保険給付を受けることとなります。

 スポットワーカーの労働災害を防ぐためにも、雇入れ時には機械等の危険性や安全装置の取扱方法等の教育の実施等など、労働安全衛生法に基づく各種措置を講じましょう。

5ハラスメント防止対策

 スポットワーカーに対しても、パワハラやセクハラなどのハラスメント防止策を講じなくてはなりません。相談窓口や行為者に対する措置内容の周知など、労働施策総合推進法等に基づく各種措置に取り組みましょう。

相談窓口

 スポットワーカーに関する賃金や労働時間、休日手当等の労働基準法等に関する相談は、最寄りの労働基準監督署で受け付けています。

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この記事の著者

横内 さつき(ヨコウチ サツキ)

中小企業の採用コンサルタント/人事労務・金融など専門領域の編集者・ライターとして活動する複業フリーランス。パーソルキャリアで求人広告営業、人材系スタートアップにて子育て世代や外国籍向け人材事業を経験。生命保険やカフェ店長、Web制作会社など、異業種の経験も豊富に持つ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

内山 美央(ウチヤマ ミオ)

うちやま社会保険労務士事務所 代表。新卒3年目で社会保険労務士資格を取得。人事ベンチャーにて勤怠管理システムの導入コンサルティング、大手イベント会社の人事部にて人事制度改革や労務DX推進に携わる。独立後は経験を活かし、IT導入やテレワーク・フレックスタイム制など、社員が働き続けたくなる会社づくりを支援。

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