三菱UFJ信託銀行は、「2025年3月期有価証券報告書分析(多様性、人的資本に関する情報)」を行った。主な結果は次のとおり。
女性管理職比率/男女間賃金格差の平均、分布
2025年3月期の女性管理職比率について、次の傾向が見られた。
- 製造業平均8%、非製造業平均16%と、平均的には非製造業のほうが高い
- 製造業では9割の企業が15%未満に集中する一方、非製造業では広く分布
- 製造業のうち、医薬品は高く、輸送用機器は低い。非製造業のうち、銀行業、保険業は高く、陸運業(鉄道)、不動産業、卸売業(商社)は低い

また、正規雇用労働者の男女間賃金格差は、次の傾向が見られた。なお、男女間賃金格差は「女性の平均賃金÷男性の平均賃金」と計算し、当指標が高い/低いほど、格差が小さい/大きいことを意味する。
- 製造業平均73%、非製造業平均65%と、平均的には製造業のほうが高い(格差が小さい)
- 製造業ではほぼすべての企業が60%以上90%未満に集中する一方、非製造業では広く分布
- 非製造業のうち、陸運業(鉄道)、情報・通信業、サービス業は高く(格差が小さく)、卸売業(商社)、銀行業、保険業は低い(格差が大きい)

男女間賃金格差に関する補足説明内容
男女間賃金格差に関して補足説明を行っている企業は約9割であった。格差が大きい要因としては、補足説明を行った企業の約9割が「女性管理職少ない、勤続短い」を、約3割が「女性に給与の低い職種が多い」を挙げている。

男女間賃金格差の増減と女性管理職比率の増減の関係
2023年3月期から2025年3月期の男女間賃金格差の増減と女性管理職比率の増減の関係を分析した。
男女間賃金格差の増加と女性管理職比率の増加は、いずれも状況が改善方向にあった。分析の結果、男女間賃金格差の増加幅(改善幅)と女性管理職比率の増加幅には、緩やかな正の相関傾向が見られた。引き続き、より長期間の変化を確認する必要があると同社は指摘している。

なお、調査結果の詳細は『三菱UFJトータルリワードレポート』10月号、11月号に掲載予定。同調査の概要は次のとおり。
- 調査対象企業:TOPIX100のうち、2025/3/31決算先80社(特殊事情ある1社を除外)
- 調査した情報の範囲:2025年3月期有価証券報告書中の「従業員の状況」「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「サステナビリティに関する考え方及び取組」
- 調査概要:
- 1.2025年3月期の状況
- 【多様性編】女性管理職比率/男女間賃金格差の分布、相互関連性、業績指標(ROIC、ROE等)との関係等を分析
- (1)女性管理職比率/男女間賃金格差の開示割合、平均、分布(全体、業種別)
- (2)男女間賃金格差に関する補足説明内容(全体、業種別)
- (3)男女間賃金格差と補足説明有無の関係(全体、業種別)
- (4)男女間賃金格差と女性管理職比率の関係(全体、業種別)
- (5)連結ベースの開示割合(全体、業種別)
- (6)ROIC/ROE/PBRと女性管理職比率/男女間賃金格差の関係(全体、業種別)
- (7)開示の実例
- 【人的資本編】42種類の指標を独自に定義したうえで、指標ごとの開示割合、開示レベル(実績のみ、目標のみ、実績&目標)を分析
- (8)指標ごとの開示割合、開示レベル(全体、業種別)
- (9)開示の実例
- 2.2023年3月期~2025年3月期の変化
- 開示が義務付けられた2023年3月期以降、2年間の変化を分析
- (1)女性管理職比率/男女間賃金格差の増減の平均、分布(全体、業種別)
- (2)男女間賃金格差に関する補足説明割合の増減(全体、業種別)
- (3)男女間賃金格差の増減と女性管理職比率の増減の関係(全体、業種別)
- (4)ROIC/ROE/PBRの増減と女性管理職比率/男女間賃金格差の増減の関係(全体、業種別)
- (5)指標ごとの開示割合、開示レベルの増減(全体、業種別)
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