1つの対応が命取りに……学生が「残念に感じた対応」は?
——では反対に、学生が「残念に感じた対応」にはどのようなものがありましたか。
「会場案内や説明が不十分で迷った」(22.9%)が最も多く、次いで「受付や社員の態度が冷たかった」「選考スケジュールの連絡が遅かった」(ともに17.4%)が続きました。
ここから分かるのは、学生は慣れない場所で、慣れないリクルートスーツを着て望む就職活動に強い緊張と不安を抱えているということです。そんな中で、案内が不十分であったり、間違っていたりすると、ネガティブな体験として記憶に残りやすいと考えられます。

——「選考スケジュールの連絡が遅かった」「選考結果の連絡がなかった/遅すぎた」と、連絡に関する項目のランクインも目立ちます。
「選考結果の通知が迅速だった」ことは、嬉しかったことのランキング上位には入りませんでした。しかしその逆、つまり連絡が遅いことや、連絡が来ないことは、学生の心証を悪化させるようです。みん就の掲示板で最も投稿が多いのも、「選考状況の共有」に関するスレッドで、「選考結果の連絡は来ましたか?」といった投稿が頻繁になされます。中でも、いわゆる「サイレントお祈り」は非常に印象が悪くなる傾向がありますね。
——ポジティブにはつながりにくいけれど、連絡が遅れたり、なかったりすることはネガティブな印象に直結しやすい要素なのですね。
おっしゃるとおりです。今は多くの企業が採用管理ツールを導入しており、スピーディーな連絡は当たり前になっています。他社との差が生まれにくいうえ、できていなければ即座にネガティブな評価につながる項目といえます。
SNSや口コミで「企業のホスピタリティ」は広がっていく
——1人の学生の体験は、他の学生にはどのような影響を与えるのでしょうか。
今回の調査で、企業の対応について「他の就活生と話したり、SNSや口コミサイトに投稿したことがある」と回答した学生は32.7%でした。共有手段はX(旧Twitter)などのSNSや、みん就のような就活系の口コミサイトです。感覚値ですが、口コミサイトの投稿の6割以上は、採用ホスピタリティに関する内容ですね。
そして、「就活生が書いた口コミを参考にする」学生は86.1%、「口コミを見て志望度が変わったことがある」と回答した学生は43.0%といずれも無視できない数字です。
