採用ホスピタリティを高めるために意識したいこと
——企業が採用ホスピタリティを高めるためには、どうすればよいのでしょうか。
まず、選考中の体験だけでなく、それ以外の部分も学生には見られていると認識すること。そして、採用担当者だけでなく、社員全員が学生1人ひとりに対してホスピタリティを発揮できるカルチャーをつくることが重要です。
「採用は人事の仕事」と考えられがちですが、採用がうまくいかなければ現場の部署の人員が不足します。採用難易度が上がっているいま、この意識を共有して全社で取り組む必要があるのです。
学生に人気の企業は、企業のトップが採用について積極的に意見を発信しているケースが多いです。社員全員で採用に取り組む文化を醸成するためには、まずは経営層が採用活動への姿勢を発信するのが効果的でしょう。
そのうえで、社員を面接官に積極的に登用したり、定期的に学生をオフィスに招いて「オフィスツアー」を実施したり、合同説明会のスタッフとして参加してもらったりして、社員が学生と接する機会を増やすのも有効です。学生に見られているという意識が、社員1人ひとりのホスピタリティ向上につながります。

一方で、「自分1人だけでは会社全体のカルチャーは変えられない」と歯がゆさを感じる人事も多いと思います。
そのようなときは、採用ホスピタリティの向上という抽象的な課題を「見える化」することをおすすめします。自社の名前でエゴサーチをしたり、選考に参加した学生にアンケートを取ったりして、まずは自社の現状を把握する。そうすることで、経営層や現場を巻き込むきっかけがつくれるのではないでしょうか。
複数内定の中から、「選ばれる企業」になるために
——では最後に、採用ホスピタリティの向上を目指す新卒採用担当者のみなさんへ、メッセージをお願いします。
数多くの口コミを見てきた中で、今回お話しした採用ホスピタリティが最終的にどこに影響するかというと、入社する企業を決めるフェーズだと感じます。
今は、1人の学生が複数社の内定を持つ時代です。その中で悩むとすると、おそらく給与などの条件面は大きな乖離はないでしょう。そのようなとき、採用ホスピタリティによって伝わる社風といった情報が、最終的に入社する企業を選ぶ際の決め手の1つになるのではないでしょうか。
内定承諾率が年々下がる企業が多い中で、採用ホスピタリティの改善を図ることは、大きなインパクトが期待できると思います。
今後、新卒採用に関する課題はさらに多様化すると思いますが、学生への真摯な対応を継続して取り組んだ企業が最終的に選ばれる企業になるはずです。今回の調査結果が、自社の採用活動を振り返るその第1歩となれば幸いです。
今回の「採用ホスピタリティ」に関する調査の詳細は、企業HP内の「みん就、企業の採用ホスピタリティと就職志望度の変化に与える影響を調査」で紹介されています。