人事データベースを統合することで生まれるメリット
もちろん、各社はAPIで各システムを連係したり、あるいはCSVでローカルに落とし、それをまた別のシステムで読み込んだりと疑似的に一連のシステムとして扱う工夫を重ねている。しかし、理想はデータベースを1つにすることだ。
「1人の従業員に対し、バラバラにデータを格納するのではなく、あくまで格納するのは1ヵ所にすべきです。そうすることで、年齢や部署が変わったとき、最新の情報に更新しやすくなります」(冨永氏)

実際、グローバルではこうしたワンストップで人事データを管理できるSaaSが当たり前に使われており、冨永氏は「世界的にも、時代的にも、データベースは1つというのがトレンド」と話す。
次に、データベースを1つにまとめるメリットを見ていこう。
まず人事担当者の生産性が上がること。データの誤りや手戻り、手作業による更新などの手間から解放される。「ある年度に入社した女性の比率」「その中で管理職に昇進した比率」など、複数のデータを組み合わせた分析もしやすくなる。
このようなデータを組み合わせた分析を可能にすることで、さまざまな施策も検討しやすくなるだろう。
たとえば、勤怠実績とストレスチェックの結果を重ねて分析するパターンを冨永氏は挙げる。この場合、どの部門がストレスチェックの結果が悪いかを特定したうえで、長時間労働ならば労働時間の削減を、勤怠に大きな変化がなければマネジメントや人間関係に問題があるのではないかなど、仮説を立てたうえで迅速に打ち手を考えられる。

他にも、給与情報や人事評価を重ねれば、高い評価を得ているにもかかわらず賃金が低い人を特定できる。さらに入社年次と組み合わせることで、優秀な若手が流出してしまわないような施策を検討しやすくなるだろう。
重要なのは「正しい人事データ」をしっかり収集すること
ジンジャーでは、このような分析が可能になる統合型のデータベースに加え、そのデータベースを最大限に活かす人事労務やワークフローシステム、タレントマネジメントシステムを提供している。
冨永氏は、もともと同一システム内でデータが連動しておらず、かつ人事担当者が毎月5つのデータベースを数十回にわたり手作業で同期させる手間が課題になっていた企業がジンジャーを導入したところ、人事担当者の作業工数が削減され、データの同期・反映がスムーズになったという事例を紹介。
加えて、1000人以上の従業員を抱える企業でも、ジンジャーの導入で人事データ改革を成し遂げた企業が出てきていると話す。
ある企業では、人事データが複数のシステムに点在し、経営層が必要なときにデータを参照しにくいことが課題だった。また、各種申請業務で紙ベースやExcelの業務があり、現場の負担になっていたという。
しかし、ジンジャーの導入後は、統合型のデータベースによって経営層が迅速にデータを出力できるようになった。勤怠や給与業務も、システム上でデータが連動したため人事担当者の負担が軽減された。加えて、申請フォームをジンジャー上で作成できるようになり、申請業務の工数を削減できている。
こうした事例を踏まえつつ、冨永氏が強調するのは、「正確性」「網羅性」「一貫性」「最新性」「適法性」の要素を兼ね備えた「正しい人事データ」を整備することの重要性だ。

「これら5つの要素がそろうことによって、初めて人事データが『使えるデータ』となります。組織をさまざまな角度で分析し、経営にインパクトのある施策を検討、必要に応じて個人へのアプローチまで実現できるのが、1つの統合データベースにする最大のメリットなのです」(冨永氏)
正しいデータを常に保持できる人事データ基盤を構築することが、これからの人事に求められている。
正しい人事データで組織の“勘”を“確信”に変える
クラウド型人事労務システム「ジンジャー」
ジンジャーは、人事労務における正確で一貫性のある従業員情報や組織データの管理ができるクラウド型人事労務システムです。人事データを適切に管理することにより、業務の効率化、労務リスクの回避、戦略人事の推進の実現をサポートします。
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