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2025年7月29日(火)@オンライン

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ギフティ熊谷優作のあのキーパーソンに“HR”を聞きたい | #1

人事は事業理解と情報収集に努め、人材戦略を先回りして立案・実行せよ——永島寛之氏に人的資本経営を聞く

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 人的資本開示の義務化を契機として、大手上場企業を中心に取り組みが進んでいる人的資本経営。とはいえ、いまだ「何をどう開示するか」に終始しており、「いかに事業成果に結び付ける人的投資をするか」という本質に踏み込めている企業は多くない。そこで一般社団法人 人的資本経営推進協会の理事も務めるトイトイ合同会社 永島寛之氏に、福利厚生のサービスを展開する株式会社ギフティ 熊谷優作氏がインタビュー。人的資本経営の潮流を整理するとともに、これからの人事が歩むべき道筋を聞いた。

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人を起点とした価値創造ストーリーが本質

熊谷優作氏(以下、熊谷) 2023年3月期より、上場企業には有価証券報告書への人的資本情報の記載義務が課されるようになり、そこから3年目を迎えました。これを機に「人的資本経営」という言葉に注目が集まり始めましたが、これまでの各社の動きを、永島さんはどうご覧になっていますか。

永島寛之氏(以下、永島) おっしゃるとおり、2023年から大手上場企業を対象に、有価証券報告書での人的資本開示が始まって、一気に取り組みが加速しましたよね。しかし、これまでの話題は「何を開示するのか」が中心であり、あまり本質的な議論が進んで来なかった印象があります。このまま開示一辺倒で終わるのか、それとも中小企業や地方企業まで巻き込んで本質的な議論が始まるのか——まさに今年が正念場だと考えています。

 「人材開発投資は経営者のアジェンダである」と言い切った点は伊藤レポートの大きな功績であり、人材開発に経営者の目が向き、予算が付くようになったのは、すばらしいことだと思います。ですが、人的資本経営の主眼はそこではない。

 そうではなく、中長期的に企業価値を上げていくために、いかに経営戦略を事業戦略と結び付け、人事戦略へと落とし込み、人材マネジメントをしていくのか。この“人を起点とした価値創造ストーリー”が投資家の求めているものであり、人的資本経営の本質です。

永島 寛之氏

永島 寛之(ながしま ひろゆき)氏

トイトイ合同会社 代表社員、人的資本経営推進協会 理事 など

大学卒業後、東レおよびソニーにてB2Bマーケティングとグローバル市場開拓に従事し、米国駐在(ソニーUSA)を経て2013年にニトリホールディングスに入社。似鳥昭雄会長直下で人事責任者として、採用改革・人材育成・組織開発を主導し、新卒採用人気ランキング1位を達成。2021年からは再生可能エネルギー分野のレノバで執行役員CHROを務め、事業戦略連動の人材戦略を推進。2023年2月にトイトイ合同会社を設立し、現在は複数企業の顧問として、「問いと対話」を起点とした未来組織開発と個人のキャリアオーナーシップ支援に注力している。

熊谷 単に予算をつけるだけでなく、きちんと価値創造につながる投資でなければ意味がないということですね。

永島 そうです。人ではなく、人が持つ能力やスキル、知識、経験にフォーカスして、それらの成長に投資する。それが経済的成果に直結する。つまり、投資対効果が期待できる取り組みをしなければなりません。

熊谷 では、投資戦略を決める際に、何をよりどころとすればよいのでしょうか。人事からボトムアップで、経営層に稟議を上げるべきですか。

熊谷 優作氏

熊谷 優作(くまがい ゆうさく)氏

株式会社ギフティ Gift Distribution Corporate Gift Director

北海道大学経済学部を卒業後、2021年度にギフティに新卒入社。法人・自治体向けにデジタルギフトの流通を担う「giftee for Business」で、事業のグロースをミッションに新規プロダクト企画に携わる。2023年1月からは「Corporate Gift」の領域において、ユースケースの探索からプロダクト企画までをリード。現在は、福利厚生サービス「giftee Benefit」の推進に注力している(Corporate Gift、giftee Benefitの概要は記事「ギフトでエンゲージメントを向上! 福利厚生にも対応したギフティの従業員向けソリューションとは」を参照のこと)。

永島 いえ、トップダウンが起点になります。どんな目的で何にどれくらい投資するかを考えるのは経営戦略そのものであり、企業の独自性や付加価値が生まれるところですから。実現にあたっては、現場の声はしっかりと聴くべきだけれども、投資戦略は経営層が事業部長クラスと話し合いながら決めるものだと思います。

 とはいえ、「事業戦略が曖昧だから、人事戦略を練られないんだ」とか「トップダウンで話が降りて来ないから、人事で何をすればよいか分からないんだ」などという言い訳は通用しないと考えたほうがよい。当然、常日頃から足元の状況や事業戦略は把握しておくべきだし、現場のキーマンや経営層がポロッと漏らす“0次情報”を集めておくべき。それらの情報を人事内で持ち寄って、これから自社が向かっていく未来に想いを馳せて仮説を立てていくくらいの気概も大切です。

 僕がニトリで組織開発室の室長をしていたときには、似鳥(昭雄)会長が「売上3兆円、3000店舗を目指す」と目標を掲げていたのですが、そのために何をするのか、具体的なことが明確に決まっていたわけではありませんでした。それでも、「売上規模と従業員数で考えると、売上を3兆円にするには今の◯倍の人が必要になるね」「同業の△社をM&Aしたら、一気に拠点がいくつ増えて、これだけの人が入って来るね」と想像することはできるし、「だったら、こんな人たちが必要になりそうだね」「次の採用ではこういうスキルを持った人を採るべきではないか」といった仮説も立てられるじゃないですか。

 事業戦略の詳細を検討するのは経営企画に任せておけばよいけれど、社内の情報を持ち寄って、人材マネジメントのシミュレーションをすることは人事内でもできる。肩肘張らずに、未来を想像して問いを立てておくのは、人事にとってとても大切なことですし、きっと人事の仕事がもっと楽しくなるはずですよ。

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この記事の著者

北浦 汐見(キタウラ シオミ)

都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

HRzine編集部(エイチアールジンヘンシュウブ)

労務管理から戦略人事、日常業務からキャリアパス、HRテクノロジーまで、人事部や人事に関わる皆様に役立つ記事(ノウハウ、事例など)やニュースを提供しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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