人的資本の価値向上を進めるうえで、従業員エンゲージメントの向上に注目が集まる一方、どのような手を打てばよいか悩んでいる企業も多くいます。そこで、本連載では、4つの業界(IT業界、小売業界、製造業界、金融業界)を取り上げ、各業界のエンゲージメント傾向をデータから分析するとともに、エンゲージメント向上の具体策を解説します。第2回となる本稿では、小売業界を取り上げます。
若手のエンゲージメントが低く、特に30代の「人材の魅力」「仕事内容」の満足度が低い傾向
まず、小売業界のエンゲージメントの傾向を見るにあたって、分析方法と分析結果をお伝えします。
分析方法
当社の「エンゲージメントサーベイ」を導入している企業の中から、小売業界の企業を抽出し、エンゲージメントスコアを分析しました。分析対象は合計109社です。
当社のエンゲージメントサーベイでは、エンゲージメントを左右する要因を「会社」「上司」「職場」の3つの領域に分け、さらに16の要素に分類しています。16の要素に紐づく形で詳細項目があり、回答者は詳細項目ごとに「期待度」と「満足度」を5段階で回答します。その結果から、エンゲージメントの指標である「エンゲージメントスコア」(≒偏差値)を算出しています。
分析結果
- 小売業界は他業界と比較し、エンゲージメントの低い企業が少なく、全業界の平均前後に位置する企業が多い傾向にありました。
- 要素別に見ると、「仕事内容」「人的資源(人材の魅力)」「施設環境」の満足度が低い傾向にありました。
- エンゲージメントが高い企業と低い企業を比較すると、「人的資源(人材の魅力)」や「理念戦略」「事業内容」に関する満足度に大きな差が見られました。
- 階層別に見ると、若手層のエンゲージメントが他業界より低い傾向にありました。
- エンゲージメントが高い企業と低い企業を比較すると、特に30代でエンゲージメントの高い企業と低い企業に大きな乖離がありました。
- エンゲージメントが高い企業と低い企業の30代を比較すると「人的資源(人材の魅力)」「仕事内容」に対する期待度や満足度に大きな差が見られました。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
花岡 健太(ハナオカ ケンタ)
株式会社リンクアンドモチベーション コンサルタント モチベーションエンジニアリング研究所 研究員。
東京大学農学部卒業後、大手損害保険会社を経て中途入社。従業員エンゲージメント向上サービス「モチベーションクラウド」やコンサルティングを通じて、100社超の組織変革を支援。現在は、研究員としてデータ分析・活用も担う。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

