ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(以下、ヘイズ)は、2000名以上の追跡調査結果をもとにアジアの人材市場の変化を分析した「追跡調査レポート ~採用現場の最前線~」を発表した。
企業の採用姿勢はより慎重に
調査結果によると、アジア地域の働き手の間では、経済悲観の意識が高まっている。次の2~5年の経済見通しや雇用情勢に自信が持てないと回答した割合は58%に達し、2024年秋に実施した調査で示された41%から増加している。
この背景には、より保守的になった企業の採用戦略が影響しているという。2025年に従業員を増加したと回答した企業は28%にとどまり、前回調査で予測されていた46%から減少した。また、39%に及ぶ企業が今年人員削減を実施しており、当初予測の25%を上回っている。
3人に1人が現在の仕事に不安を抱えている
アジア全域で進む組織再編の増加は、従業員の意識にも明確な影響を与えているという。同調査では、34%の人材が現在の職務に不安を感じていると判明した。すでに退職した人のうち24%は、新しい機会を求めた理由として「雇用の不安定さ」と回答。これは「成長機会の欠如」に次いで多く、「福利厚生の改善」など従来見られた要因を上回っている。
転職理由として「成長機会の欠如」は依然として根強く、転職者の36%が「昇進の機会が限られていたこと」を主要な理由に挙げている。転職を検討している層でも、45%が「今の会社では将来的な成長の見込みがない」ことを動機としていた。一方で、現職にとどまっている理由としては「ワークライフバランス」が41%で最も多く、次いで「給与」が36%、「福利厚生」が33%と続いた。
職場でのAI活用が増加
同調査で得られた明るい兆しとして、職場でのAI活用の拡大が挙げられるという。業務の一環としてAIを使用している人材は63%に達し、2024年末の54%から増加している。
この伸長は、AIの研修やトレーニングに対して組織をあげた投資が増加していることが理由だという。アジア全域の41%が「企業がAIに関するトレーニングやサポートを提供している」と答えており、昨年の28%から上昇した。
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査期間:2025年6月
- 調査方法:オンラインアンケート調査
- 調査機関:同社調査
- 調査対象:アジア6ヵ国・地域(中国、香港特別行政区、日本、シンガポール、マレーシア、タイ)の採用担当者を含む約2000名
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