ミツモアは「中小企業の採用管理システム導入に関する実態調査」の結果を発表した。同調査は、従業員50~299名規模の中小企業に勤め、採用管理システムの導入を検討したものの断念した担当者109名を対象に実施された。
調査によると、システム導入を断念した理由の第1位は「導入・運用コストが高すぎた」(28.4%)。続く第2位は「現場の理解が得られなかった」(18.3%)、第3位は「導入作業が大変そうだった」(17.4%)だった。コスト面の不安と、社内体制や稟議の壁が導入を妨げる主な要因となっている。一方で、「条件が整えば導入したい」とした担当者は66.1%、「非常に導入したい」との回答も4.6%となり、7割超が再挑戦を前向きに捉えているようだ。


担当者の業務実態としては、56.9%がExcelや紙で面接スケジュール調整を行っており、選考進捗管理でも44.0%、応募者管理・整理や連絡対応も4割超が手作業で実施している。主な課題は「同じ情報を複数箇所に入力する必要がある」(44.6%)、「選考進捗の把握に時間がかかる」(42.6%)、「応募者とのやり取り履歴が分散してしまう」(30.7%)など、業務効率化が十分に進んでいない実態が浮き彫りになった。


また、自社のデジタル化状況について「他社よりやや遅れている」(29.4%)、「大幅に遅れている」(14.7%)と、44.1%が他社比較で遅れを意識している。導入を検討する理由としては、「採用にかかる時間を短縮したかった」(40.4%)、「採用データの分析や活動改善」(33.0%)、「選考ミスや漏れの削減」(27.5%)などが挙がっている。


期待する導入効果は、「採用スピード向上」(43.1%)や「ミス削減」(36.7%)、「応募者体験向上」(28.4%)と業務効率化や品質向上に集中している。

導入検討や実行を後押しするために求められる支援については、「効果試算の具体的サポート」(45.0%)、「導入・運用コストの透明性確保」(37.6%)、「同規模企業での成功事例共有」(25.7%)など、コスト対効果や他社事例の情報提供が重視されている。システム比較段階でも、「各システムの料金比較」および「導入事例・口コミ情報」(各42.2%)の重要性が高い。


調査結果からは、コストや稟議などの明確な障壁を乗り越えられれば、採用DX推進の余地は大きく、現場担当者の多くが導入に前向きであることが示された。今後は、効果可視化や成功事例提供など、意思決定を後押しする情報と支援が、中小企業の採用業務デジタル化推進の鍵となるだろう。
調査概要
- 調査名称:中小企業の採用管理システム導入に関する実態調査
- 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:2025年9月12日~同年9月16日
- 有効回答:従業員50~299名の中小企業に勤めており、採用管理システムを導入検討に携わったが、システム導入を諦めた人109名
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