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労働基準法大改正 | 本質と論点、求められる企業の対応

労働基準法大改正 解説【前編】——2027年改正が示す「働き方」の転換と人的資本経営の進化

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改正の全体像——4つのポイントが織りなす制度設計

 今回の労基法改正でまず理解すべきことは、時間・場所・所属などの要素の拘束性を緩和し、「働き方を自由にする」ことが全体の方向性であることです。そしてこの全体像は、企業の実務対応の観点から4つのポイントで捉えることができます。

「労基法大改正 戦略レポート」(iU組織研究機構 松井勇策)より
労基法大改正 戦略レポート」(iU組織研究機構 松井勇策)より
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 第1に、事業概念の見直しや副業・兼業の促進など「多様な働き方の推進」により、企業は場所や雇用形態にとらわれない柔軟な人材活用の戦略性を高められます。

 第2に、労働時間情報の開示やフレックスタイム制の柔軟化など「労働時間法制の見直し」により、時間の使い方そのものを価値創造の視点で再設計できます。

 ただし、この戦略性の高まりは無制限ではありません。第3の「労使コミュニケーションの深化」により、過半数代表制の改善を通じて、働き方の設計に労働者の声を反映させる仕組みが強化されます。これは企業の裁量を牽制しつつ、労使双方にとって納得感のある制度設計を促す役割を果たします。

 そして第4の「働き方のIT戦略の実現」により、勤怠管理システムと人事情報基盤を統合し、1人ひとりの働き方を可視化しながら個別に最適化していくデータに基づく労働管理が求められます。

 つまり、企業の戦略性を高める自由化と、それを適切に管理・牽制する仕組みが、一体的に設計されている。これが今回の改正の最も軸にある部分の設計であるといえます。

法令の性質が変われば、向き合い方も変わる

 ここまで見てきたように、労働法制の性質は「規制」から「戦略活用すべきツール」へと変化しています。この変化は、企業の法令に対する向き合い方を当然変えます。

 従来は、法令を「守らなければならないもの」として捉え、最低限の対応をすればよかったのです。しかし、法令が「多様な働き方を実現するための選択肢」を提供するものになったとき、どの選択肢を選び、どう組み合わせ、どう運用するかが問われます。労基法改正で可能になる「事業場を超えた労務管理の一元化」や「副業・兼業の促進」は制度として用意されるだけで、実際にどう活用するかは企業次第です。地理的制約を超えた人材配置を実現するのか、専門人材との協働を強化するのか、自社の人材戦略と照らし合わせて判断することになります。

 つまり、法令の性質が変わったことで、企業には選択と設計の余地が生まれました。 そして、その選択と設計は、当然ながら人材戦略と整合している必要があります。経営戦略から逆算して、どんな人材が必要で、その人材が最も力を発揮できる働き方は何か――それを実現するために、法令が提供する選択肢をどう組み合わせるかを考えます。

 これは「戦略的に活用しよう」という掛け声の問題ではありません。法令の性質が変わった以上、求められる対応の仕方が変わったということです。

次のページ
2027年改正を見据えて今考えるべきこと——人的資本経営を「働き方」に広げる

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この記事の著者

松井 勇策(マツイ ユウサク)

産学連携シンクタンク iU組織研究機構 代表理事・社労士。情報経営イノベーション専門職大学 客員教授(人的資本経営・雇用政策)。社労士・公認心理師・AIジェネラリスト。
時代に応じた先進的な雇用環境整備について、雇用関係の制度や実務知識、特に国内法や制度への知見を基本として、人的資本経営の推進・AIやICT関係の知見を融合した対...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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