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人事労務事件簿 | #64

定期代の不正受給による懲戒解雇を無効と判断(東京地裁 平成18年2月7日)

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 従業員が出社するための交通費について、企業が定期代を支給することは一般に行われています。また、その支給額については、自己申告に基づいて決められるケースが多いと思います。今回取り上げる事案は、そのような運用が行われてきた企業において、申告された交通経路ならびに交通費が実態と異なり、実際の通勤に要する額を上回る定期代の支給を受けていた従業員に対し、懲戒解雇を行ったものです。しかし裁判の結果、従業員の不正行為は認めつつも、懲戒解雇は過剰だとして裁判所は無効を言い渡しました。その根拠はいったい何だったのでしょうか。

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1. 事件の概要

 本件は、被告(以下「Y社」)の従業員であった原告(以下「X」)が、Y社に対し、懲戒解雇の無効を主張して労働契約上の地位および賃金の支払いを求めた事案です。

(1)当事者等

 Y社は、オートバイおよびオートバイ用品等の販売を主な業務内容とする会社です。

 Xは、平成6年9月にY社に雇用され、主にオートバイ用ヘルメットやブーツ等の接客販売に従事していました。

 平成16年6月28日付の懲戒解雇当時、Y社第一倉庫において倉庫業務に従事していました。

 なお、Xは、個人加盟方式の労働組合である全統一労働組合(以下「全統一」)の組合員であり、そのうちY社従業員で構成されるY社分会(以下「分会」。全統一と一括して「組合」)に所属する者です。

(2)Xの転居とこれに伴う通勤経路

 Xは、平成10年5月、従来の住所地であった東京都A区内から千葉県S市内に転居しました。

 その際、Xは、Y社に対し、「H線・地下鉄線」という通勤経路(以下「従前の通勤経路」)を申告し、平成10年10月頃までの間、この経路で通勤していました。

 なお、その当時、Y社においては、組合との間で「通勤交通費は実費を支給する」旨の合意がなされていました。

 当時、従前の通勤経路による1ヵ月の定期代は4万910円でしたが、その後の運賃改定により4万3270円となりました。

(3)通勤経路の変更

 Xは、平成10年11月頃、通勤経路を「H線・K線」に変更し、その後、この通勤経路(以下「変更後の通勤経路」)で通勤していました。

 しかし、この変更をY社に申告することなく、平成15年6月までの間、従前の通勤経路に基づく通勤手当を受給していました(以下「本件不正受給」)。

 なお、変更後の通勤経路による1ヵ月の定期代は3万6460円です。

 図示すると次のとおりです。

(4)Xの懲戒解雇

 Y社は、平成16年6月28日、Xに対し、同日付でXを懲戒解雇する旨の意思表示をしました(以下「本件懲戒解雇」)。  なお、同日付解雇通知書には、次のとおり記載されていました。

 あなたを、就業規則第46条に基づき平成16年6月28日をもって解雇いたします。

[解雇理由]

 あなたは、通勤定期代を会社に請求するにあたり、虚偽の請求を行い不正に定期代を受給していました。これは就業規則第39条11号の規定する行為に該当します。

 なお、Xは、本件懲戒解雇まで懲戒処分を受けたことはありませんでした。

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この記事の著者

坂本 直紀(サカモト ナオキ)

人事コンサルタント、特定社会保険労務士、中小企業診断士、坂本直紀社会保険労務士代表社員。就業規則作成・改訂、賃金制度構築、メンタルヘルス・ハラスメント対策社内研修などを実施し、会社および社員の活力と安心のサポートを理念として、コンサルティングを行う。
ホームページに多数の人事労務管理に関する情報、規定例、書式等を掲載中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://hrzine.jp/article/detail/7320 2025/12/26 08:00

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