「社内の当たり前」を魅力的に伝えるポイント
文化発信がうまくいかない企業の多くは、自分たちにとっての「当たり前」を言語化できていません。社員が日常的に行っている行動、たとえば朝礼で感謝を伝えることや、Slackで「ありがとう」スタンプを送り合うこと、上司を役職ではなくあだ名で呼ぶことなど、そうした何気ない習慣が外から見れば立派な文化そのものです。
しかし、社内では“普通のこと”として見過ごされがちです。採用広報の役割は、その「当たり前」に光を当て、それがどんな価値観に基づく行動なのかを言葉や構造で見せることです。
たとえば、「風通しの良い職場です」といった抽象的な表現よりも、「誰でも社長に直接チャットできる」「会議では新人が最初に意見を言うルールがある」といった行動描写のほうが、文化の実在感をより強く伝えることができます。
さらに一歩踏み込んで、その行動が「心理的安全性」や「主体性」といった価値観と結び付いていることを明文化すると、より深い理解につながるでしょう。
文化は説明するものではなく、体験として伝わるもの。その前提を持つことが、採用広報の第一歩です。

理想的な人材像の設定方法 行動や価値観で描く
「求める人材像」をスキルや経歴だけで定義すると、結局はどの企業も似通ってしまい、カルチャーフィットの精度は上がりません。採用広報で本当に伝えるべきは、「何ができる人か」よりも「何を大切にして働く人か」です。
設定の手順は次のとおりです。
このように定義した“行動で見える価値観”は、採用メッセージの軸となります。「私たちはこういう人と働きたい」という1文は、求人票にも広報にもSNS投稿にも共通する、企業の“語り口”を決める言葉になるのです。
単に「協調性」ではなく、「自分の役割を越えて、他部署の成功にコミットする協調性」のように、自社独自の行動様式を含めて定義することが、求める人材像に出会える精度を高めます。

