採用スクリーニングに効果、ミスマッチを防ぐ
――過去にも教育系事業の取り組みがあったとか。
eラーニングの教材作成「SI作って教材」がありました。オンライン受講、成績管理、統計分析、コミュニケーションを行うLMS(ラーニングマネジメントシステム)です。企業や教育機関でご利用いただいておりましたが、eラーニング市場自体が縮小し細々とサポートしていました。今回、その経験を生かしてプログラミング能力判定サービス「TOPSIC」を発表しました。
――この事業に踏み切った背景を教えていただけますか。
弊社も含め、採用でプログラミングテストを実施するIT企業が増えています。採用では人柄も重要ですが、プログラミングスキルを正確に把握しないと後悔することにもなりかねません。近年は人手不足でハードルを下げていることもあり、本人は「できる」と言っていても、実際は「できなかった」こともあります。採用にかかるコストや採用後の人件費などを合わせると、社員1人あたり1000万円ほどのコストがかかります。さらに、日本では解雇が大変難しい。ミスマッチは大きなリスクとなります。
――確かに、エンジニア採用でプログラミングスキルがないと困りますからね。
弊社でも、社内教育の一環で年に一度、プログラミングコンテストを実施しています。それを採用のスクリーニングに活用しています。実施してみると「なんだ、口ほどにもない」だったり、反対に「意外とすごい(実力だ)」と分かったりします。
3年ほど前からはMIJS(Made In Japan Software & Service)人材育成委員会のイベントとしても実施しています。この他流試合が実に評判です。実力が数値で出ますから盛り上がるのです。負けると悔しいですし、上位陣のコードは見ると洗練されていて勉強になります。
――コンテストの実績から価値を見いだしたのですね。
当初は社員教育用イベントでしたが、採用スクリーニングで需要があると分かりました。先に述べたように採用でミスマッチを防ぐことは特に重要です。そこでSPI試験のイメージでビジネスにしようと踏み切りました。1月10日にサービスインしました。
――今回のような体制になったのは?
コンテンツ(問題)を継続的に作り続けるという課題を克服するためです。弊社は仕組みの部分はいいとして、問題を作るのは得意ではないのでパートナーを探したんです。プログラミングコンテストをしているところは世界で何社かあり、そのうち良質なコンテンツを作っていたAtCoder社と組むことにしました。弊社はeラーニングのノウハウを生かして受験やスキル判定部分などを担当します。
また、AtCoder社には自動判定の仕組みがあるのもよかった。MIJSで実施したコンテストだと人間による判断が必要で、実施に人手がかかるという課題がついて回っていたんです。加えて、AtCoder社の仕組みでは論理的な思考能力を測ることもできます。TOPSICにはサンプル問題(次ページ冒頭に掲載)のような、アルゴリズムを組み立ててからプログラムを記述する問題が多くあります。解答には理系の頭が必要ですね。
――多言語対応もされているとか。
海外企業も対象に含め、まずは日本語と英語でスタートし、状況に応じて順次対応言語を増やしていく予定です。