IPAがこのキャンペーンを実施する背景には、外国人IT人材の積極活用という気運の高まりがある。この気運を高めているのは2つの政策だ。
1つは、サイバーセキュリティ2015の「経済社会の活力の向上及び持続的発展」にある「ITPECの更なる普及を図る」という記載。ITPEC(IT Professionals Examination Council:アイティーペック)は、アジア圏でIT人材を育成し、人材の流動性向上・活用を図ることを目的として2005年11月に設立された協議会で[1]、ITパスポート試験、基本情報技術者試験相当の試験を毎年4月と10月の年2回、応用情報技術者試験相当の試験を年1回、同一日、同じ問題を使用し、協力して実施する。
もう1つは、日本再興戦略 改訂2015にある「IT分野における外国人材の活躍促進として2020年までに3万人から6万人に倍増する」と記載。こちらについては、すでにCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)が優秀な海外のIT人材の日本への定着を促進させるため、35社1団体を有する「アジア等IT人材定着支援協議会」を、ITPECと同じく2015年11月に設立している。
キャンペーン期間は今年9月から2018年6月30日までの約2年。その間、対象各国(フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、モンゴル、バングラデシュ)でハローキティをモチーフにしたコラボデザインのクリアフォルダが記念品として受験者に配布されるほか、ハローキティをあしらったポスター、チラシ、Webサイトなども制作される予定。キャンペーンは対象国内のみで実施されるため、特製クリアフォルダは日本で配布されない。
なお、日本の情報処理技術者試験をベースに作成されたアジア共通統一試験には、これまでに57,757人が受験し、10,736人が合格しているという。
注
[1]: 2000(平成12)年10月に開催されたASEAN+日・中・韓経済閣僚会合において採択された「アジアITスキル標準化イニシアティブ」を受け、12カ国・地域(インド、シンガポール、韓国、中国、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、モンゴル、バングラデシュ)と覚書が取り交わされた、情報処理技術者試験の相互認証を受けてのこと。(IPAのプレス発表より転載)