2019年11月の転職求人倍率は、前月比0.29ポイント増の2.81倍で、求人数は前月比102.3%、前年同月比108.2%、転職希望者数は前月比91.7%、前年同月比107.6%だった。転職希望者数が前月より落ち込んだ分、転職求人倍率が高まったようだ。ただし、前年同月比では転職希望者数が7.6ポイント増えていることから、売り手市場を背景に転職意欲は依然高いといえる。
業種別での「IT・通信」の求人数は前月比102.5%、職種別でも「技術系(IT・通信)」の求人数は前月比102.2%と、2か月連続して前月割れから増加に転じた。前年同月比を見ても、業種別「IT・通信」の求人数が109.9%、職種別「技術系(IT・通信)」の求人数が110.6%と採用意欲は強く出ている。
なお、業種別「IT・通信」の転職求人倍率は7.85倍(前月比0.80ポイント増)、職種別「技術系(IT・通信)」の転職求人倍率は再び10倍を超え10.29倍(前月比0.89ポイント増)だった。ITエンジニアの採用は、相変わらず厳しさを増しているようだ。
パーソルキャリアのdoda編集長 大浦 征也氏は、今回の結果について次のように述べている。
「先月に続き11月も求人数は増加し、3か月連続で調査開始(2008年1月)以来の最高値を更新しました。一方で、年末に向けて転職活動が落ち着くため、転職希望者数は減少する傾向があり、今年も例年通りの傾向が見られました。転職市場全体では、引き続き求人数は多いものの、求人数が増加している業種、職種には偏りが見られる状況です。
12月以降の求人数は、これまでより増加幅は小さくなりそうですが、緩やかに増加する見込みです。注力事業への 増員や事業課題の解決を担う人材の確保など、中途採用によって事業拡大を図りたいという考えの企業は多く、採用への意欲は引き続き高い状態にあります。また、年明け1~3月は、4月入社に向け、求人数、転職希望者数が1年で最も多くなる時期です。ただし、昨年に比べて求人数が減少している業種・職種もあり、一昨年・昨年の転職市場と比較すると変化が見られます。そのため、今後の転職市場では、求人倍率の高い業種・職種を選択肢に入れることが、転職成功の鍵となりそうです」(大浦氏)